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カテゴリ:健康
マスクの繊維をくぐってコロナウィルスはやってくる、とはいうものの、その飛散を若干抑えるということで、フランス政府がマスクの着用を義務付けています。
特に店や交通機関では必須です。 フランス北西部に入り、町中を行く一般市民が老若男女問わずマスクの着用者がほぼ定着していることに驚きました。市場では店の人があえてマスクをしていないこともありましたが、客の注文を間違えないように聞き返すこともあり、マスクをすると声がよく行き渡らないという理由でしょう。考えてみれば、一般市民より多くの人に出遭う店の人のほうが危険にさらされているんですね。ボルドー当たりからマスク着用者が多いなあ、とは思いました。 7月中旬から8月初旬までの道のりをおさらい。 南仏からエックス、カマルグを過ぎ、どこかの地中海海水浴場でひと泳ぎし、 南仏モンペリエで一泊、 フランス南西部ポーの街(つい萩尾望都の「ポーの一族」を思い出し、とはいえ、残念ながら、漫画の舞台ではなく。とはいえ、あの漫画に出てきそうなロマンチックな家があり)、 オロロンの街を過ぎ、 涼しく美しいベアーン・ピレネー(かなりスペイン寄り)の知人宅で何日か過ごし、 炎天下のピラ砂丘を降りて大西洋でひと泳ぎし、 ボルドーの知人宅で二泊、 フランス南西部ラ・ロシェルでムール貝を食し(7月21日摂氏29度) (ここまで距離にして約2000㎢)、 その後、フランス北西部ブルターニュの海水浴場でひと泳ぎ、一晩野宿し、 Redon という町が美しかったので少し降りて、 そこから寒いくらいのノルマンディでしばらく過ごし、 その後, Limoge やクレルモン・フェラン近くのコレーズ県の小さな村の知人宅で二泊三日過ごし、途中、牛が山の斜面に放牧されているCantal県の村々の一角で地元 Brechailles のカンタルのフォマージュ職人の店でチーズを購入。そのまま南仏に帰宅。二日ほど洗濯、掃除、蜘蛛の巣の撤去に追われ。 ボルドーはある日の酷暑の午後、市内をちらっと歩きましたが、一般市民も街中でマスクを着用する人が南仏に較べて多い印象でした。二泊三日のボルドー。 ボルドー市内で、二晩宿泊させてくれた知人は、これからブルターニュに向かう、というと、ブルターニュは避けたほうがいいんじゃないか、と心配してくれました。コロナウィルス感染者があそこは多い、というニュースがあったようです。 フランス南西部ラ・ロシェルの港町を歩く人々の多くがマスク着用。 確かこの町で7月21日、ムール貝のランチを済ませ、 その後ブルターニュ地方で海水浴場 (La plage des Barges, à Pen Lan)でひと泳ぎ、 Billiers だったか Muzillac という小さな町で、民宿を探すが、満室、その後は夕食抜きの寒い寒い野宿。 その Muzillac という小さな町だったと思う、9月まで満室です、と言った笑顔の民宿の若い店主、目が美しく青かったので、そのまま泳いできた海を見ているような錯覚を覚えながら、話を聞いていたけれども、隣の町に行けば、ホテルがあるかも、と親切に教えてくれました。 たぶん、写真からすると、この民宿です。茅葺の屋根だったので、たぶん。ちょっと印象が違う感じもするけれど。La Chaumière en Bellevue, 56190 Muzillac•09 71 32 74 16 が、せっかく得た情報にも、夫はさらに探す気力もなく疲れ果てて、もう即眠りたい、と、村のどこかの森の小道を抜け、どこかの原っぱで、野宿。原っぱ、というより、森の中の広大な畑で、おそらく大きな機械で草刈りを終えた後。 ほぼ一睡できない状態で、翌朝、近くの一見ファーストフード風のパン屋でおいしい朝食を。早朝だったためか、女性の店員さんたちは笑顔もなく、ただ、ペットボトルに水を補給したいとお願いしたら、先輩格の店員さんが快くOKしてくれました。夫は、こんなおいしいクロワッサンは珍しい、口の中で溶けるようなおいしさだと。そのパン屋さん、殺風景な交差点のような場所にあり、パン屋さんの奥では3人の男性が粉にまみれてパンを作る様子が見えたのも印象的でした。 この場所を去る時、近くにキャンプ場がありました。あそこに行けば、せめてシャワーは浴びれたのに、と思いつつ。夫は携帯を持たない主義を貫いているので探しようもなく。ナビ、フランス語でGPSも古いもので、たぶん、キャンプサイト検索は無理だったと思う。立派な装丁の全フランス地図本も今回使ってみてわかったのが、もう存在しない道路もあり、あまりあてにならないことが。フランス、日本も同じかもしれませんが、道路工事さかんです。 ラ・ロシェルもブルターニュやノルマンディの田舎町や、村のパン屋さんでも、従業員はもちろん、一般市民のほぼ全員がマスクを着用。 立ち寄った先々の小さな田舎、村でもほぼ全員がマスク着用。 出会ったフランス人ともほぼ全員、フランス特有の頬キスもほぼなく、こぶしを合わせて挨拶、とか、ただ手を振ってみる、笑顔で、のような挨拶。 正直、フランスに長年住んでみて、初めての光景です。 自宅から何キロ先は超えてはいけないという自粛体制が6月15日に緩和され、国内移動が可能になり、近所の別荘にもベルギーから人が来ていました。 個人の行動範囲の自由を政府が規制するというのは異例のことで、メディアでは賛否両論です。 自分は自粛できるものなら、世のため人のため自粛したほうがいい、とは思っていたので、まさか遠出をするなんて思ってもいませんでした。夫はむしろスエーデン対策のほうが人間的ではないか、なんて。夫婦間でも賛否両論。 今回は滅多に会えない夫のご両親や親戚や、知人にも会えて楽しい時を過ごすことができました。気がつくと、食事は常にテラスだったり、室内空間でも窓は常に開放され、密閉された空間にいたのは、就寝時のみでした。夏だったから可能な配慮でした。自粛生活後だったので、コロナウィルス不安の中、楽しさが倍増した感もあります。 正直、ノルマンディでご高齢の義理のご両親に出会えるとは思っていなかったので、内心、大丈夫かなあ、と心配でした。2017年のクリスマスでもすでに父上は少し歩くと胸を抑えて苦しそうでしたから、今回のコロナで家族とはいえ、遠方に住む親せきが集まるのは今はまだ避けたほうが良いのでは、と思いましたが。けれど、ご両親もとても嬉しかったみたいで何よりでした。その父上もなんと片道300km前後の距離を走行してこられました。この夏以降はまた自宅で自粛生活に入るよ、とおっしゃっていた。今回は夫が子供のころ、可愛がってくれた、という母方のひいおばあちゃんのお墓もお参りできてよかった。菊の鉢植えをもって、なんだか日本的な感じもしたけれど。夫は線香も炊いていた。自分は日本のお墓詣りは心の中でしていた。ほんとうは日本にも戻ってみたかった。 南仏の村で、ある日、何年か前、一人のおばあちゃんが杖をついて散歩していた。声をかけられたので、少し話した。昔はマルセイユに住んでいた、というおばあちゃんは目も見える97歳だった。結構な距離をのんびり歩いていらしたけれど、みんな、あんなふうに長生きしてほしいなあ、と。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 4, 2020 07:09:13 PM
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