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テーマ:気になったニュース(31013)
カテゴリ:視・紙・誌面から
紅麹の製造はグンゼから事業を継承したということが新聞にあった。製造手順書をそのままマニュアル化し、技術職もグンゼから受け入れて工場を運転していたという。いわゆるM&Aの手法で事業をしてきたのだと思われる。
私が小林製薬の名前を知ったのは、子供の時のTVで「頭痛薬 ハッキリ」のCMだった。その後、熱さまシートとか糸ようじとか、スキマ商品のようなアイテムで活躍していた気がする。「ちょっとケッタイなもんで商売する」と思っていたものだ。 しかし、微生物の取り扱いについてはどうもあまり歴史がないようである。私の地元には醤油会社があるが、今の工場が子供の頃からあって、今も同じところで創業している。また、高いところから見ると屋根瓦が真っ黒に煤けている。「醤油屋はああならなければ一人前でない」と聞かされたものだ。今回、大阪市と和歌山県の工場が立ち入り検査を受けたようだが、詳しい事情はわからないものの、工場に「菌が棲みつく」までには相当の年月が必要である。同じような話は灘の酒造メーカーでも聞いたことがある。 微生物というのは面白いもので、先に繁殖した菌が他の菌が生育できないような状態を作り、独占が進む。しかしその中でも次第に性質が変わって、急に特定の酵素が弱くなったりすることがある。学生時代にも同僚がそんな目に会って、卒業論文に困っていた。もとの菌株は冷凍室で保存していたので、そこからもう一度培養をして間に合わせたのだが、品質管理の一環としても生産物のチェックは常に行っている。今回のような「未知のピーク」がもしクロマトで検出されたら次の工程に進むのを止めなければならない。その辺りの管理・認識が甘かったのだろう。 事故が起きたのがどちらの工場の生産物だったかは知る由もないが、仮に新工場であったなら余計に生産物のチェックを慎重にするべきだった。微生物汚染は確実に古い工場よりも弱い状態にある。例えば青黴などによる汚染のリスクも上がる。手順書は常に現場に合わせて更新を続けねばならないものだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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