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2006年03月04日
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カテゴリ:ショップリサーチ
今春は新店のオープンラッシュで、最重要と思われるものだけでもカバーするのが大変だ。

今日はヨガ教室の後、横浜へ移動。まずはウォーミング・アップということで、駅ビルの1つ、シァルへ。

昨年末頃から感じていたのだが、このビルに関してはちょっとセクシー系の勢いは止まったかな、という感を受ける。もちろん、そういうファッションに身を包み、ショップに足を運んでいる熱烈なファンは依然として存在するのだが、そういうコアなファンに引きずられて入ってくる層が薄くなっているように思うのだ。

理由として私が想像していることは3つ。1つは、セクシー系ファッションをリードしてきた層が年を取り、結婚して子供を産み、ライフスタイルが変化して徐々にファッションどころじゃなくなっていること。今日も子供連れの夫婦での来店を見たが、かなり多くの人達はもう郊外から横浜には出なくなっているのではないか。

2つ目は、プレミアム・ジーンズブームの火付け役にもなったセクシー系ジーンズ(そのリート役は、「マウジー」が果たしてきたと思うのだが)も、ここに来て完全に下火になっていること。そのことによって、デニムだけ買っていた層の足が遠のいていると見える。セクシー系ショップでも、今春のトレンドのメインはやはりショートパンツやクロップドパンツなのだ。

3つ目は、「安可愛い」、の安い、の部分が、セクシー系の大きな魅力の一つでもあったのだけれど、ここに来て景気が良いので、元のセクシー系の顧客でも、より高いものでゴージャス感やモード感のあるものにシフトできる層も出てきていると思うのだ。TV番組でもホストクラブが舞台のドラマが放映されるご時勢、恐らく、最近は水商売の業界なんかも売り上げは悪くないのだろうからね。

話は全く変わるが、このビルの中では、2階の「VIS」がいつもかなり賑わっているのが目を惹く。JUNグループの「ギャミヌリイ」と「プーラフリーム」で構成されているショップだ。同じフロアの中では正直、感度の高さではかなり劣るのだが、わざとそうしているところがミソ。このショップが売れるのは、価格が安いのとサイズがやや大きいからなんですよ。お客様の動きを見ていると面白いです。



さて、本日の本目的の1つ。高島屋横浜店3階に3月1日にオープンしたばかりの、自主編集売り場「STYLE&EDIT(スタイル・アンド・エディット)」をチェック。

この件について、昨日付けの日経MJさんが、「同社が自主編集売り場を多店舗で展開するのは初めて」と報じていたが、これは誤りですよ。大昔からあったニットのオリジナルやら、「ティーズ・クリック」やら「ナチュラル・オースリー」やら、これらの売り場が自主編集じゃないとしたら、どう呼称するんでしょうねぇ???

この横浜店を含め、旗艦店6店舗で初年度年商12億円が目標だが、WWDジャパンさんに「ハードルは決して低くない」云々書いてあったのはどうやら正鵠を射ているようだと今日売り場を見て感じた。

立ち上がり4日目にして、早くも売り場がスカスカ、という感じなのだ。「6267」「アキラ」「ロイアンドフォード」「デレクラム」「ランバン」「ニナリッチ」辺りが主力、それ以外に、日経MJによると、雑貨も含めて計30ブランドを揃えている、とのことだが、ブランド数も型数もちょっと少ないな、という感じである。

後発のため、エクスクルーシブが取れない、という趣旨のコメントが先日のWWDジャパンさんの記事には出ていたが、それ以上に気になるのは、このショップは一体何を狙って開設されたのか、というのがはっきり見えない、ということ。

正直、「景気が急回復してきた。すわっ、うちもちょっと高いものを売らなあかん」と機敏に対応された、ということは、商売人としては褒められるべきことであって悪いことでは決してないと思います。ただ、今の段階では、「何でもいいから高いものを集めてきて売ろう」という感じにしか、見えなかったのだ。

その辺が、UAさん辺りに対抗し、旬のトンがったブランドをとことん集積している伊勢丹さんの「リ・スタイル」や、銀座のOL層がイメージターゲットになっている三越さんの「ニューヨーク・ランウェイ」に比べて、ちょっとあいまいだと思うんですよ。

高島屋横浜店さんの3階は、ヤング・キャリア売り場と言いながら、実際の購買客の年齢がかなり上昇している、という問題を抱えている。ところがこのお店の2階の特選売り場や、1階の化粧品売り場なんかでは、横浜や湘南辺り在住の若いリッチな娘さんと母親や、カップルなんかがバンバン高い物を買っている。

しかし、そこに置いてある商品は、伊勢丹さんに比べてちょっとコンサバ。お客様も潜在的な不満を持っておられるかもしれないが、休日にわざわざ都心まで出るのもちょっと面倒だし、横浜には高いものを売っているセレクトショップもバーニーズ以外ほとんどないから、「クロエ」や「バレンシアガ」のバッグは買えなくても、「ヴィトン」で我慢しとくか、とこの百貨店にやってくる・・・という感じなのではなかろうか。

これは、百貨店さん側にとっては、かなりオイシイ状況であることには間違いないのだが、一つ間違うとこの顧客はいつかより感度の高い所にシフトしてしまうかも、という、非常に危険な状況だ。高島屋さんに限らず、老舗系、と言われる同業他社さんも多かれ少なかれ同様の傾向にあると思うのだが、そういう問題を解消するための売り場だとしたら、もっと思い切ってエッジィな方向に振らなければ駄目でしょうね。

まず、今のような、「年齢の高い人でも来る者は拒まず」的な全方位型のMDはやめて、切り口とターゲットを明確にしたMDにシフトすること。

それから、ショップスタッフも、本当に服が好きな人だけにして、セレクトショップにも負けへんで、くらいの気持ちを持って売り場を作りこむこと。

今の売り場に実際に置いてある商品を見ると、先程列挙したブランド名から受ける印象よりも、かなり甘口、雑貨も含めてエレガントでやや可愛らしさのあるアイテムが大半だなぁ、という感じである。同業他社さんでも人気の「ダイアン・フォン・ファーステンバーグ」なんかもありましたしね。

そこに、一部分、「マンド」とか「サイ」とか、ドメスティックなトラッドの香りの漂うブランドがあったり、熱狂的なファンがついている「ミナ・ペルホネン」が差し込まれている。

雰囲気としては、「オバサンも受け入れる間口の広いアクア・ガール」といった感じだ。元々、良家の子女の皆様を顧客に持っておられるお店だから、意図せずしてそういう方向にMDが向いているのだとしたら・・・。

秋冬からは、無理して若さ=セクシー路線には走らず、若いけどフェミニン、エレガンス、といった匂いをはっきりと打ち出して、それに対しミックスコーディネートが組めるような違うテイストのブランドを入れ込んでいけばよいと思う。

もう1点、気になっているのは、今の状況だと、期中、期末になればインポートの入荷が止まって今よりもっと売り場の鮮度が落ちてしまうのではないかと思うのだが・・・。

タグを見ると、「オンワード樫山」と書いてあるブランドがあったので、ひょっとしたら樫山さん辺りの協力を得てその辺を乗り切っていくお考えなのかもしれないけれど・・・。

百貨店さんが自主編集売り場において、大手アパレルさんと組むと、ごく一部の例外はあるが、ほとんどがうまくは行っていないんですよね。

アパレルさんの立場からすると、そんなに儲からない分野に力を入れない、というのは、至極当然のことだと思うのだ。

だから、本当は、伊勢丹さんが無名だった「ププラ」や「パルクラミュー」と組んだように、小さなアパレルや工場さんと深く取り組む、というやり方の方が、理想かもしれない。

「リ・スタイル」がうまいのは、高いデザイナーズブランド以外に、中間価格帯のドメスティック・ブランドと、同店のオリジナルに近いと思われるベーシックなブランドの3層構造にして、後2者でもしっかりと売り上げを取っているところだ。UAさんにしても「アクア・ガール」にしても、儲かっているところは全部そうなっている。だから、客数も多く、売り場がいつもワサワサと賑わっているのだ。

しかし、百貨店さんの自主編集型ショップは、百貨店内の1コーナーなので、あくまでも百貨店の顔として位置づけ、マスの売り上げは既存のアパレルさんの売り場で取る、という割り切った戦略も可能だ。それならば尚更、お店の顔に相応しい明確なイメージの表現が必要だろう。

恐らく次シーズンからは、商品内容も充実してくるはず。富裕層の多い高島屋さんの客層からすると、間違いなく感度のレベルを上げれば上げるだけ数字は上がってくるはず。中途半端なところで躊躇せず、テーマをはっきりさせてMDを組んで欲しいものですね。

私のような者が言うのもおこがましいのだが、今はまだ星2つ、というところだろうか。秋以降の展開に期待したいと思います。

長くなってきたので、続きは明日書きます。

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最終更新日  2006年03月04日 23時31分19秒
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