中高一貫校は大学受験に優位なのか?
今週のサンデー毎日には高校別の主要84大学の合格者数が掲載されている。2009年も卒業時のデータはしっかりと分析している。これも重要な仕事・・・。主観にとらわれずに数字で客観的な比較をしてみると、世間の話とは大きなズレが生じてくる。『中高一貫校は公立に比べて大学受験時には圧倒的有利』そんな理由で中高一貫校へ進学させる親も多いらしいが果たしてそうだろうか?たぶん、感覚や主観、錯誤、勘違いをしているのかもしれない。僕個人の見解はいつも同じで御三家以外は公立トップ校と同じか、それ以下の実績が一般的であるとみている。あくまでも客観的な数字に条件をのせて判断する。中高一貫校のプラス材料は大学受験には見えづらいものだ。むしろ、他のプラス材料を考えた方がよさそうだ。それにしても数字をしっかりとつかもう。そして、対等な条件で実績を比較したいものだ。2009年の大学合格者数の比較と条件加味した見解まずは都立高校は共学であるので、比較する中高一貫校も共学を選択する。共学は男子校と比較して、進学実績は落ちるのは確かなデータなので都立高校を男子校と比較はできない。ここは同じ条件で比較する。そして、卒業生人数の比較も忘れないように。材料としてこの2校を比較したい。私立中高一貫校<共学校>渋谷教育学園渋谷中高:卒業生224名→6年間教育東京都立高校<共学校>日比谷高校:320名→3年間教育(卒業生は渋谷の約1.4倍)日比谷高校:東大16名・東工大9名・一橋大14名・早稲田大119名・慶應義塾大117名渋谷教育渋谷高校:東大9名・一橋大5名・早稲田大学96名・慶應義塾大43名公立は大学進学時に弱いと言われながらも、中学受験時にはかなり高い偏差値がついている渋谷教育学園渋谷をはるかに超えている。卒業生数を考慮しても明らかな違いがわかる。さらに考えてみよう!中高一貫の場合は6年教育を受けているため、優位だと言われている。また、数百万円の投資を含めて考えると費用対効果は相当低いことになる。つまり、大学受験を考えた場合、都立トップ校の方が優位に立っているデータになる。ここで分かる事は一つだけ。『中高一貫校は効率に比べて大学受験時に圧倒的に優位』という話はウソになる。よって、大学受験だけを考えるならば中高一貫校のプラス材料はないということになる。偏差値的には渋谷教育の方が高いはずであるが、出口での実績は日比谷に軍配が上がったと言える。客観的なデータだ。日比谷は都立復活を目指し東京都が相当の投資をしている学校の一つだ。こうなってくると都立トップ校に優位性が働いてくる。次に、男子校対男子校で比較したい。埼玉県浦和高校(卒業生317名)と中高一貫校の海城高校(卒業生369名)だ。 卒業生数は海城高校が約1.16倍。埼玉県立浦和高校:東大36名・東工大14名・一橋大6名・早稲田大124名・慶應義塾大79名私立海城高校:東大34名・東工大9名・一橋大14名・早稲田大学178名・慶應義塾大138名卒業生数を考慮すると慶應義塾大学以外はほとんど差はない。東京大学の数は同等。6年間のサービスの差、そして投資の額の違い。すべてを考えてみると中高一貫校のプラス点は徐々に薄くなってきているのがわかる。教育内容が優れていても、大学受験時には差は出ていないということだ。さらに、中高一貫に所属していてもZ会、チャレンジ、塾などを利用するケースは多く、そこは公立生と全く同じだ。こういったデータから考えることは、中学受験で騒いでいる程、中高一貫は優れてはいないということだ。確かに、日比谷や浦和高校のようなトップ校へ合格できないから中高一貫校へ進学させるという考えはもっともなのかも知れないがもはや、公立は見えない中で復活を遂げている。中高一貫校の魅力はどこになるのか?もはや、大学受験時の優位性はあまりない。一体どこに、価値を求めるかが重要になりそうだ。上記高校以外にもデータを出しているが、やはり、御三家以外の名門私立高校は相当の苦戦をしているようだ。公立トップ校の方が伸びてきている。私立中高一貫校の生徒の中だるみも大きな影響。それを見逃している学校側の怠慢さも否定できない。中だるみをさせるくらいならば公立中へ行っても変わらない。こういった角度でも受験時の学校選択を検討したいところだ。5年生になった娘のブログ『狆ころ娘のワクワク日記』人気中学受験ブログ一覧