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2010.06.08
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カテゴリ:読書
加賀恭一郎シリーズ初期の作品。
それが「悪意」だ。(この記事ネタばれあり)

   

作家が仕事場で殺される。
鈍器で殴られ、その上銃殺されていた。

全体で300ページほどの作品で、100ページ以内に犯人がわかる。
残りの200ページは何が描かれているのか。
読者なら読んでいる最中、それが気になっただろう。
私もその一人だ。

可能性としては以下のことが考えられる。

1、真犯人は別にいた。
2、もうひとつの犯罪が起きる。
3、「犯罪は何が起源になっているか」を表現する。

東野が描いたのは3だった。
ホワイダニット(なぜ事件が起きたのか)を加賀は追う。
「犯人がわかれば事件は解決」ではない。

ここで「説明する作品」であれば、読者からは拒否される。
説明ではなく表現することが作家の役割。
この点は「悪意」の本文でも出てきた。

遺体発見者の書いた文章による始まり。
それはアガサ・クリスティのある作品を思い出させる。

読者は書いてあることが真実だという前提で読み進める。
だがその一部に嘘があったとしたら。
ミスリードされた読者(と加賀)は、何が真実かを見定める必要がある。

後半部分にある同級生たちの供述。
それにも人を見る目の難しさがある。
人の記憶くらいあてにならないものはない。

社会科の教師だった加賀恭一郎がなぜ刑事となったのか。
その理由もこの作品で明らかになっている。
教師を続けられなかった加賀は、よく刑事に転進しようと思ったものだ。

この作品を読んで思い出したのは「容疑者Xの献身」。
以下の記事で書いた。

「容疑者Xの献身」東野圭吾

今になって初期の作品を読む。
それは意味のあること。
なぜなら、東野圭吾という作家の軌跡が見えるから。

「容疑者X」は「悪意」をベースにしている。
私はそう感じた。

順番としては逆だが、私は「赤い指」を先に読んでしまっている。

「赤い指」東野圭吾

人がなぜ殺人者となるか、事件ごとに事情は異なる。
「容疑者X」で感動した読者が多かったのは殺人事件の背景。
犯人に共感する読者が多かった。
それが「容疑者X」の成功につながっている。

この作品に苦言があるとすれば、それは鍵。
殺人現場に入るための鍵について、読者にはそのありかが伝わっていなかった。
推理小説の掟として、必要な材料は読者に示されなければならない。
終盤になって鍵のことを書くのはいただけない。

だが、それを差し置いてもこの作品は評価が高い。
東野は挑戦する作家だ。
映画監督が自らの作品をリメイクするように、東野もそうしている。
上で書いたように、「容疑者X」は「悪意」のリメイクだ。
そう書いたら彼のファンは反発するだろうか?

加賀恭一郎シリーズの最新作、「新参者」。
図書館で待って、いつかは読んでしまうのだろう。


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最終更新日  2010.06.08 20:53:51
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