カテゴリ:読書
「14歳の世渡り術」というこの本。
大人が読んでも興味深い内容だった。
学校では特に教えないけど、よくわからないもの。 いくつかあるが、右翼と左翼はまさにそのひとつ。 著者が書いたように、両者は共通点がある。 拝金主義は間違っているし、「常識を疑う」という点。 「このままじゃまずい」という意識が両者の根底にある。 だが、天皇の存在になると意見が大きく分かれる。 著者である雨宮処凛。 小林よしのりの「ゴーマニズム宣言」に強い影響を受けた。 右翼での活動を経験し、その後左翼的な考えに変化した。 本書でも紹介されている。一水会の鈴木邦男氏。 「朝まで生テレビ」にも出演した鈴木氏は魅力ある人物。 右翼とは思えないほどのリベラルな主張には驚いた。 どこかで出会っていたら、心酔してしまったかもしれない。 人が右に行くか左に傾倒するかは環境が大きく影響する。 イデオロギーというより、魅力的な人に人間は弱い。 「自分の置かれた環境に反発」する人もいるだろうけど。 特に興味深かったのは野村秋介氏に関すること。 野村氏は右翼という立場を超えて魅力的な一面があった。 本書では触れてないが、俗に言う「黒シール事件」。 新井将敬氏のポスターに石原慎太郎の公設秘書がシールを貼った。 「1966年に北朝鮮から帰化」という内容のシールだった。 野村氏はこの事件で石原氏に怒った。 右の野村氏が、同じく右の石原氏を批判する。 それは、野村氏のフェアな一面を物語っている。 本書でも紹介されているように、野村氏は93年に自殺。 朝日新聞東京本社に抗議した後での出来事だった。 亡くなった方を批判するのはフェアじゃない。 だがそれでも私は言いたい。 野村氏が起こした河野一郎邸焼き討ち事件とそして経団連襲撃事件。 当たり前だが物事を暴力で解決できるわけはない。 野村氏には自殺することなく言葉による訴えで語って欲しかった。 彼の言葉には説得力があっただけにそれが残念。 ひとつ、この本で勘違いしやすい点。 それは、自衛隊で割腹自殺した三島事件。 そして山口二矢による浅沼稲次郎暗殺事件の表現。 繰り返しになるが、言論ではなく暴力による解決方法は間違っている。 本書では間違いやすい表現になっているかもしれない。 私はその点を危惧する。 浅沼稲次郎暗殺は、沢木耕太郎「テロルの決算」に詳しく出ている。 私はこの作品をノンフィクションとして高く評価している。 後にノーベル賞作家となる大江健三郎。 彼も「セヴンティーン」第二部「政治少年死す」でこのテーマを描いた。 だが右翼団体の強い批判があったそうだ。 そのため長い間「読めない作品」になってしまった。 脱線した。話を本書に戻す。 著者によるイラクでの活動。 そして訪朝など、私は彼女に賛同できない部分もある。 もちろん「行って見なければ何もわからない」という意見。 これには強い説得力がある。 *********************** 関連記事 「右翼と左翼はどうちがう? (14歳の世渡り術)」を読んだ 「右翼と左翼はどうちがう?」を読む 14歳の世渡り術 右翼と左翼はどうちがう? 状況整理に・・・ 右翼と左翼はどう違う? 44 右翼と左翼はどうちがう? 『右翼と左翼はどう違う?』 雨宮処凛 河出書房新社 *********************** ※トラックバックは管理人が承認した後に表示されます。 バナーにクリック願います。 ***トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。 その場合リンクは必要とはしません。 意見があればメッセージでどうぞ。 ただし荒らしと挨拶できない人はお断りです。 今のところメッセージは全て読んでいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.02.24 18:36:16
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