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カテゴリ:アトピー
これも書くのが面倒なんですが。
朝日新聞の患者を生きるというシリーズで、先日まで大人のアトピーについて連載されていました。 私は、このシリーズが始まった時から好きで、いつも読んでいます。 普段はひとりきりで孤独な闘いをしているように思いがちですが、世の中にはいろんな人がいるんだなと気づかされるからです。 いつも読んでいて思うのは、登場する人たちはみな、大学病院や専門の医師にかかることができ、何らかの形で解決にたどり着いた人たちだということです。 つらい思いをしただろうけど、恵まれている人たちだなといつもうらやましく思います。 大人のアトピーについて連載します、と書かれているのを読んだ時、アチャーと思いました。新聞を開くのが、億劫になりそうだったからです。 が、終わってみると、これだけ?な~んだ、あっさりしてたな、と拍子抜けしました。 新聞に連載されるからには、自分よりきっと重い例なのだろうと身構えていたのですが、ステロイドを使えば3日で効いて、すっかり元気になられたようで、というか元々私のように体調を大きく崩すようなことはなかったみたいで。 がっかり、といってしまっては失礼なのですが、どこかで、自分より重い例が紹介されてやっぱり自分ひとりじゃないんだと思いたかった気持ちがありました。 もちろん、ご本人にとっては、とてもつらい経験だったと思います。 それは、私にはとてもよく分かります。 書かれてあることの一つ一つに、自分自身の言葉であるかのように、分かる分かると何度も思いました。 5年という月日は、無為に過ごすにはとてつもなく長いです。 私自身はその3倍の時間を過ごしてしまっていますが、そういうことは関係ないと思います。私は最初に「とにかく2年頑張ろう」と思いましたが、その2年間は永遠に思え、その2年後にどん底の体調だった時点で、時間の感覚をなくしました。 きっと、良くなった後だからこそなんともやるせない気持ちになっただろうと思います。 このような回り道をして人生の大事な時期を無駄にしてしまう人がいなくなるようにと、個人の体験を話そうという気持ちはよく分かるし、とても勇気のあることだと思います。 ただ、患者がプライバシーを侵してこれだけのことをしても、医療の側がもっとふさわしい対応をしなければ、十分な効果はないのではないかと思います。 一人の患者が経験したことを話して、だからステロイドによる適切な治療を受けるべきだと言おうとしても、そのやり方は、たとえば自分はステロイドを使わず漢方治療でよくなったからステロイドは使うべきではないと主張するのと、同じです。 一人の人間が実際に経験できることは、たかが知れていると思います。 でも医者は、同じような症例をたくさん知ることのできる立場にあります。 科学者として、客観的な目で患者を多くみてきた立場で言えることを、きちんと言わなければいけない責任があると思います。 「患者は科学的根拠に基づいた治療を受けるよう、正しい知識を持つことが大切」などと言いますが、その科学的根拠とはどういうものなのかという説明が足りないのでは。 単にこういう人がいましたよ、ではなく、患者を症状ごとにランク分けしたり分類して、どういう症状の、どれだけの人が、どういう治療をしたら、どうなったかを、もっと客観的に示して欲しい。 たとえばつい先日も、喫煙者のうちCT検査を受けた人は、初期のうちに腫瘍を見つけられ、助かる確率が2割高くなるという調査結果が新聞に出ていました。 今の標準治療にたどり着くまでの紆余曲折が、この混乱を生み出していると私は考えますが、その経緯の説明が圧倒的に足りない、というか全く聞かれません。 ステロイド治療は良くないという人の中には、一昔前の治療を受けている可能性があると思います。 それは何年か前にステロイド治療を受けたというだけでなく、治療を受けたのが最近でも、知識が昔のまま止まっている医師の診察を受けていたということも考えられます。 私自身もそうですが、ステロイドの外用薬で大変な目に合ったという体験をすれば、ステロイドで一時的によくなることよりも、その後クスリを使わなくなる時の恐怖の方に意識が行き、ステロイドを使わず悪い状態が続いていても、少なくともあの異常な状態になることから身を守ることは出来ている、と思うのは当然ではないかと思います。 そうではなく、全身の皮膚の状態が悪化した期間が長引くと、体内でどういうことが起きているのか、どういう危険が高まるのかということや、 ステロイドの使用では、効かない程度のものを長々と使うのでなく、しっかり効く強さのものを必要な量使うことが大切で、そのコツが分かるまでに誤った使われ方をしたために、苦しんだ人が多く出てしまったことを、医師を代表する立場の機関が、もっとしっかり説明して広く知ってもらうよう努力するべきだと思います。 それから、「患者は医者を選ぶ権利がある」などといいますが、それは病気によりけりで、ステロイドを使った治療では突然使用をやめることはできないので、一度その治療を始めたら、ある程度隷属的な関係にならざるを得ません。 また、私の場合がそうですが、体調を崩し家で過ごしている身にとって、気に入るまで病院巡りをするなどというのは不可能です。 遠くまで通院するのを体調が許さないということもありますが、家族の中での立場が難しいものになるということもあります。 おそらく、この連載で取り上げられた方が行ったM医院とは、私が5年行った漢方の病院と同じだと思います。 この方は家族が反対しても自分が望んで治療を受けていたそうですが、私は逆で、自分では行きたくなくても家族が治療の継続を望み、治療を続けるのがとてもつらい状況でした。 その前に、わざわざフェリーで行った病院も、私は絶対に行きたくなかったところでしたが、その治療を受けるか今すぐ仕事を辞めるかだと言われ、追い込まれて行かざるを得ませんでした。 どの病気になっても、患者はそうなるまで何も知らなかったずぶの素人で、助けを求めて病院に行くのですから、最初に駆け込んだ病院で、間違いなく正しい治療にたどり着けるようにする責任が、医者側にはあるでしょう。 その治療を選んだ患者が悪い、というスタンスではなく、医者同士がもっとよく話し合い治療方針を統一するべきで、そのためには、営業妨害だいうような考え方はせず、傍流の治療方針の医師には確固たる態度を取って欲しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.11.18 00:21:11
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