来年3月の国立劇場で仁左衛門さんの絵本合法衢
つい数日前、摂州合邦辻を観てきましたが、来年3月には国立劇場で「絵本合法衢」が上演されるとのことです。調べてみたら、最近では、孝夫・玉三郎のコンビで平成4年に新橋演舞場にて上演されていました。四代目鶴屋南北作の歌舞伎狂言で、通称「立場の太平次」(たてばの たへいじ)。文化7年5月5日(1810年6月6日)江戸市村座初演、全七幕。200年も前の作品であります。さらに調べてみると・・・。-----------------大阪天王寺の合邦辻閻魔堂(現大阪市天王寺区)で実際に起こった敵打ちをテーマに、南北(当時は勝俵蔵)は読本『絵本合邦辻』を原作として、左枝大学之助と立場の太平次という極悪人を主人公に据え、悪事の限りを尽くさせている、とか。綿密な構成や『忠臣蔵』などの古典の仇討狂言のパロデイを巧妙に取り入れるなど、仇討狂言の白眉と賞されている。大学之助と太平次という強烈な個性の悪人を演じるのは至難の技で、八代目幸四郎以後は九代目松本幸四郎と十五代目片岡仁左衛門の二人しか演じていない。-----------------なんと、登場人物が三十人近く殺され、大詰をのぞいて、善人たちが全滅するという異常な内容なんだそうです。----------------発端の大学之助の懸想は忠臣蔵大序における師宣の、第三幕の俊行の計略は忠臣蔵の七段目由良助の、五幕目のおりよ殺しと五十両強奪は五段目の定九郎の与市兵衛殺しの、第六幕のお亀の身売りは六段目のお軽の、大詰めの兄弟の名乗りは『沼津』の平作と重兵衛の名乗りを下敷きにしたもの。ゆすり場のうんざりお松のキャラクターは「お染の七役」の土手のお六やその後の悪婆物の原型にあたる。孫七・合法実は高橋弥十郎は、大学・太平次役の役者と同格に役者をもってこないと・・・・。-----------------ここまで調べて、こりゃあ如何にも南北作品だなぁ~と、感心いたしました。平成4年の孝夫・玉三郎コンビについては、犬丸治さんの論評がありました。閻魔堂の深い闇 ~「絵本合法衢」論~ 犬丸 治こちらです。 国立劇場の案内は、次の通り。---------------通し狂言 絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)劇場 国立劇場大劇場 通し狂言 絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ) 公演期間 2011年3月5日(土) ~ 2011年3月27日(日) 開演時間 12時30分開演(4時50分終演予定)※11日(金)、18日(金)は4時開演(8時20分終演予定) 演目・主な出演者 四世鶴屋南北=作通し狂言絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ) 四幕十二場 序 幕 多賀家水門口の場 多賀領鷹野の場 多賀家陣屋の場 二幕目 四条河原の場 道具屋の場 妙覚寺裏手の場 三幕目 和州倉狩峠の場 倉狩峠一つ家の場 倉狩峠古宮の場 元の一つ家の場 大 詰 合法庵室の場 閻魔堂の場(出演) 片岡仁左衛門 ほか前売開始日 電話・インターネット予約開始=2月6日(日)10時~窓口販売開始=2月7日(月) 等級別料金 特別席 12,000円(学生8,400円)1等A 9,200円(学生6,400円)1等B 6,100円(学生4,300円)2 等 2,500円(学生1,800円)3 等 1,500円(学生1,100円) こちらです。------------------いずれにしても、初見ですから観ておきたいですし、どのような配役になるのか、楽しみです。