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西條剛央のブログ:構造構成主義

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西條剛央

西條剛央

2007/12/06
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カテゴリ:哲学
朝方の特別講義始めます。

後輩のSWさんの日記をテクストとします。

以下そのテクスト(SWさん、良質のテキストをありがとう)。


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数字の不思議

2007年12月05日

最近聞いた話。

1を3で割ると0.333・・・となるわけですが,0.333・・・を3倍しても0.999・・・で,1にはならないんですよね。

この状況を解決するには,0.999・・・=1である必要があるわけなんですけど,どうなんですかね。普通にこれを主張している人もいるそうです。

ウィキペディアに「0.999...が1に等しいことの証明」というのがありました。


いやーすさまじい。

で,どうも0.999・・・=1らしいです。「どう考えても0.999・・・=1なんだけど納得できない」というのが一般的な感覚みたい。

ちなみに,リンク先を一通り読んだ現時点でも,僕は納得できない派ですwまあリンク先は長文かつ複雑なんできちんと理解は出来てないんですが・・・

1-0.999・・・=0ってことなんだよなー。確かに,9は無限に循環するので0.000・・・0001という解答はありえない。つまり「無限」という概念をどう感覚するかの話ってことになるのか。

あるいは,1=2÷2みたいな感覚で,0.999・・・を小数というよりはなんらかの概念であると理解しちゃえば納得できるのかも。やってみて僕は納得できませんでしたがw

あ,待てよ。0.333・・・×3=0.999・・・ってとこは疑えないんだろうか。つまり,0.333・・・×3は1であって0.999・・・ではないというような。だって1÷3=αとした場合,α×3は1だからねえ。これは俺の中では結構ありかもしれない。

・・・あーでも,0.333・・・×2=0.666・・・なんだから,3倍したら0.999・・・になるよな。これも駄目かなあ。

3分の1=0.333・・・をどうやって導き出すかというと,1÷3を筆算でやるわけですよ。そうすっと3が永遠に並ぶというのは理解できる。3分の2=0.666・・・も同様。で,0.999・・・については3分の3なわけで,これはどう考えても1なので・・・と考えると,ひとつの考え方として「0.999・・・なんて状態はありえない」というのはどうだろう。

0.999・・・という数字は俺の現時点での知識では0.333・・・を3倍することでしか得られないわけだけど(だって3分の3から行こうとしたら1になっちゃうからね),0.333・・・を3倍した数字は1であって0.999・・・ではないと。ついさっきの議論を引っくり返しちゃってますが。

このへんが妥協線かなあ。


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さて、これらをテクストとして、以下特別講義はじめます。
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とてもいい線いってると思うけど、これはそんな複雑な話じゃないのです。




これは、数(概念)で考えるとわけがわらかなくなるという一種のトリック(まやかし)なのです。


こう考えれば何も不思議ではなくなります。

リンゴが一つあります。

3つに正確にわけました。

無理矢理数値化したところ、一つのリンゴが0.33333・・・になりました。

でも、3つあわせたら1だよね。だってもともと1だったものを3つにわけただけなんだから。

それを概念(数字)で表すと複雑になり、わけがわからなくなり、「納得できなくなる」というただそれだけのことなんだ。



なぜ、こうした倒錯が起こるかわかるかな?
















































































それは概念(数値)を実体として捉えてしまうからなんだ。



哲学の難問(アポリア)も全部だいたいはそうした錯誤の結果生まれている疑似問題。そしてそこから膨大なスコラ議論(あーでもない、こーでもないという些末な議論)が生まれてくる。


これを“本当の意味で理解できたら”、あらゆるモンダイはモンダイじゃなくなる。




「この世には、不思議なことなど何もないのだよ、関口君。」





という京極堂の台詞の意味はこういうことでもあるんだよ、○○君。」




哲学的なアポリアに取り組んでいる人は、このことを深く強く理解しておかないと、疑似問題に一生を費やすことになります。


もっとも、その人が愉しんでやっている分にはモンダイないのですが、少なくとも、「哲学」や「研究」が「学問のための学問」に終止しないためには、このことは分かっておいたほうが良いでしょう。





京極堂とは京極夏彦の小説シリーズに出てくる主人公の一人です。

哲学にも非常に造詣が深く、現象学的な視点からトリック組み入れているので、現象学を小説で理解したいという人にもお勧めです。参考書として挙げておきましょう。


デビュー作:姑獲鳥の夏   





陰摩羅鬼の瑕 


これはハイデガーの存在論を組み込んでいます。

哲学者木田元の解説も見物です。




以上、朝方の特別講義終わります。









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Last updated  2007/12/22 02:25:10 PM


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