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西條剛央のブログ:構造構成主義

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西條剛央

西條剛央

2011/03/24
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カテゴリ:東日本大震災
このまま大事がなければ,さしあたり緊急的なパニックが起きる時期は過ぎたといえるでしょう。

正直,二転三転する原発の状況や東電や国の対応は,国民を疑心暗鬼にさせるには十分なものだったので,状況でよく社会的なパニックにならずに持ち応えたなと思います。

日本人じゃなければ,東京から何百万人という人がいなくなったかもしれません。本当に一歩手前までいっていたんじゃないかと思います。そうしたら必要な物資を運ぶこともできず,より大きな混乱が起きたことでしょう。

そうならなかったのは本当に凄いことだと思います。

しかし,原発の現状が明らかになってきている現在,各自が冷静に今後の動向を決める新たなフェイズに移行してきています。



以下の記事を取り上げてみたいと思います。

朝日新聞のニュース「30キロ圏外の一部、内部被曝の可能性 極端な例で試算。」より。(http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103230465.html

「原子力安全委員会は23日、福島第一原子力発電所の被災に伴う住民の被曝(ひばく)量や放射性物質が降る範囲を、SPEEDI(スピーディ=緊急時迅速放射能影響予測)システムで試算、結果を初めて公表した」そうです。

震災から12日経っての公開のどこがスピーディなんだろうとつっこんでしまったのは僕だけではないでしょう。

その記事の最後には次のようにありました。

「各地で放射性物質が検出されるようになった後も同委員会は公表してこなかった。一方、米国やフランス、オーストラリアなど海外機関は独自に拡散予測をインターネットで公開。情報の透明性に批判が集まっていた。」

僕も震災数日後にはドイツの機関が風向きによるシュミレーションをしていたのをみたのを覚えています(海外はある意味で無責任に報道することができるのでどれだけ信憑性があるかはわからないなと思ってみていましたが)。



原子力安全委員会はパニックや風評被害を起こさないためにも慎重に情報公開していく必要があるのはわかります。

しかし同じぐらい避けなければいけないのは,国民に「不都合なデータを隠しているのではないか」と思われることです。

信頼すべき機関が嘘をついているのではないかと疑心暗鬼になるのはパニックを引き起こす条件になります。

何を信じて良いかわからなくなるためです。

ですから,今回のように

「原発から北西と南の方向に放射性ヨウ素が飛散し、最も影響を受けるケースだと、30キロ圏外でも12日間で100ミリシーベルトを上回る甲状腺の内部被曝を起こす可能性がある、との結果が出ていた。」

といった知見が“後から出てくる”というのはまずいわけです。

国の言うことを信じていたのに,「すいません,調査結果をみたところ予想よりもかなり被爆していたようです」といわれたら,すいませんじゃすいません,どころじゃ済まないためです。

いつの間にか深刻な被爆をしてしまっていたら取り返しがつきません。それだけは避けたいと国民の多くは思っているはずです。

ですから当該機関は,慎重さ,正確さと同じぐらいに,情報の透明性,速報性も求められるというとても難しい課題に取り組まなければならないのです。

それらの条件を満たして初めて,国民はパニックを起こさず,冷静な対応が可能になるのです。





慌てて避難するというレベルの危険性があるわけじゃないのは確かですが,いまのところ放射能汚染は拡大している(というデータが出てきている)のも確かです。

また政府の予想よりも悪い結果が事後的に出てきているというのも確かです(まあこれは風向きのような自然現象は完全な予想など無理なのでわかっていたことではありますが)。

ということはこれからもそうしたデータが出てくる可能性があると考えるのは不自然なことではありません。特にMOX燃料(Pu)などの情報が出てきていないのでその辺は気になるところです。この点に関しては国民の不信感が増大する前に適切な対応をした方がよいと思います。


さて,こうした若干シビアな現状を踏まえた上でどうするかです。

特に原発に近いエリアやボーダーラインエリアや近隣の県のみなさんは,公表されているデータやその推移の仕方(だんだん悪くなっている/良くなっている)を勘案しながら,各自対応を決めていく必要があるでしょう。

とはいえ明日には好転するということももちろんありえます。時々刻々事態が進展していくところが今回の判断が難しいところです。

またそれは生き方の問題にも絡んでくるのでいちがいにどうすべきというものはないと思います。

慌てるようなことではありませんが,どこかで各自が判断し方針を決めていかないといけないところもあるでしょう。

デマ疎開について論じた記事もあるのでそれらも考える際の参考にしてみていただければと思います。



・この未曾有の震災をどう受け止めればよいか?(3.17.)→http://p.tl/4_el

・ 今は「こころ」を中心に考えましょう(3.18.)→http://p.tl/23_P

・デマと事実をどう考えればよいのか?(3.18.)→http://p.tl/SeNF 

・疎開論に関して広くわかりあえる考え方とは?(3.20.)→ http://p.tl/PsVJ





(早稲田大学大学院専任講師 西條剛央)

ブログやTwitterなど転載ご自由にどうぞ。
その他の大震災関係の記事はこちらを下に下がっていくとあります→ http://p.tl/XcQA





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Last updated  2011/03/26 06:07:07 PM
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