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西條剛央のブログ:構造構成主義

西條剛央のブログ:構造構成主義

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西條剛央

西條剛央

2011/03/28
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カテゴリ:東日本大震災
原発の代替えエネルギーにはどういうものが相応しいのでしょうか。

この問題を考える際に,CO2温暖化仮説に基づく温暖化防止運動を避けて通ることはできません。火力発電は二酸化炭素を排出するという理由から原発推進の後押しにもなっていた側面があるためです。

しかしこの温暖化議論は,その前提から何重にも崩れていると考えています。

以下,竹田青嗣・池田清彦・西條剛央による鼎談『持続可能な社会をどう構想するか』(期間限定で無料ダウンロード可能です→http://p.tl/VSjm)の議論を踏まえつつ論じていきたいと思います。





まずCO2による温暖化防止運動が成立するための前提について検討していきましょう。

そもそもCO2問題のポイントは,いくら燃やしたかではなくて,いくら掘ったかです。

地中に埋まっている化石燃料を掘り起こして燃やした分,大気中のCO2が増加するのであって,それ以外はCO2は地表をぐるぐる循環するだけなのです。

誰もが「石油がなくなったら困る」と言っています。つまり,CO2削減と言葉では言っていますが,地下にある石油を全て使う気満々なのです。本気で削減しようとしてないのは明らかです(論駁1)。





したがって,CO2排出権取引やそれを前提とした炭素会計という考えは,環境問題という体裁をとった経済の問題であり,根本的な環境問題の解決にはなっていないといってもよいでしょう。

これに対して,「国際的にこうした動向が生まれた以上,それに便乗して経済的な利益をあげるべきだ」という意見もありますが,CO2排出量取引は元々EUの戦略です。

実際,京都議定書を遵守するならば,日本よりも二酸化炭素を排出しているロシアに何兆というお金を払う必要があり,甚大なる経済的な損失が生じると言われています(論駁2)。





そもそも,多くの懐疑論者が主張しているように,CO2が原因かどうかもわからないのです。

実際,昨年になって温暖化防止運動の根拠となっていたIPCCが出したホーケスティック曲線からなるデータは捏造されたものであることが示されました(論駁3)。これが有名な「クライメートゲート事件」です。

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)が人為的温暖化仮説を押し進めたいという政治的動機から,データを捏造し,その動機に反するデータからなる論文をつぶしにかかった有様は、関係者のデータの流出によってメールとして世界中に広まったのです。

これによってそれに関わった研究者とICPPの権威は地に堕ちたばかりか、気候学という学問自体の信頼も損なってしまいました(『地球温暖化スキャンダル:2009年秋クライメートゲート事件の激震』(日本評論社),あるいは池田清彦『新しい環境問題の教科書』(新潮社)の「あとがき」参照)。

また仮にCO2温暖化仮説が妥当だったとしても,日本が京都議定書を完全に遵守しても,1年に1兆円,100年で100兆円かけても,100年後の到達温度を0.004度しか下げられないのです。まさに焼け石に水にもならないわけです(論駁4)。

IPCCの研究者がCO2の上昇による温暖化グラフを偽造したことが明るみになったクライメートゲート事件についての翻訳記事が載っています。信じていた人はショックかもしれませんが一読しておく必要があると思います。
「21世紀政策研究所研究主幹・澤昭裕」http://www.21ppi.org/pdf/sawa/100427.pdf

以下は2010年4月30日に開催された日本学術会議の公開シンポジウム「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)問題の検証と今後の科学の課題」全文です。
http://iwakamiyasumi.com/archives/7





ここまでで十二分に論駁されていると思うのですが,さらに議論を進めましょう。

それは,気候が長期予測不可能性な事象である,ということです。となると予防原則は機能しないことになります。

20世紀に従来の線形モデルの限界と反省から複雑系の科学が台頭しました。

その中でも「カオス理論」が示したことは,気候のような複雑なシステムの長期予測不可能性です(論駁5)。

バタフライ効果といって,比喩的にいえば,蝶の羽ばたきのような極微細な変化が,1週間後の海の向こうの都市の上空の気流の流れを変えてしまうといった振る舞いが明らかになったのです。

1週間後の天気もわからないのに,なぜ100年後の気候が予測できるのでしょうか。

また地球の熱源はほとんどが太陽活動によっています。太陽の活動が変われば,寒冷化も起こりえるのです。長期予測が不可能な事象に対しては予防原則は機能しないのです。


以上の論駁1~5により, 昨今流行しているCO2削減運動に乗っかって京都議定書を遵守することは,気候の長期予測不可能性(寒冷化する可能性もある)やコストパフォーマンス(日本だけで100年で100兆円つぎ込んで100年後の到達温度を0.004度しか下げられない)、国益を損なう(日本は数兆円規模で損失する)といったように環境的,経済的,政治的あらゆる観点から妥当な戦略とはいえないことがわかるでしょう(なお,本論は論駁1~5の全てを否定できれば論駁できます)。





そして冒頭でも述べたようにこうした問題は,今回の原発問題にも深く関わっており,さらにそれは復興経済にも関わってきます。

二酸化炭素を減らすために火力発電を減らすことになります。それは原発推進運動の追い風になったに違いないでしょう。

CO2削減運動に乗っている限り,火力発電は悪であり,原発の方が二酸化炭素を出さないのでよいという論理も成り立つことになります。

復興のために25兆を越す資金が必要とされているのに,こうした何重にも前提が崩れているCO2削減運動の上に成立している京都議定書を遵守して毎年何兆円も損するなどということは,どう考えても不合理なことです。

1兆円と聞いてもピンとこないかもしれませんが,1億円を1万人に配れるということです。25兆必要ということは,1億円を25万人に配れるほどの莫大な資金が必要だということです。現時点で世界中から1000億円以上の義援金(寄付金)が集まったとしましょう。

しかし,それは25万円必要なのに1000円しか集まっていないということなのです。5000億円集まっても5000円ということです。今こそ1兆円もの予算をドブに捨てることになる京都議定書は速やかに離脱して復興支援に予算をまわすべきだと僕は思います。





また「子ども手当」という名のばらまきも止めたほうがよいと思います。僕が震災後このような主張をしたところ,ほとんどの方は賛成ということでしたが,「弱いところから奪うな」とか「ばらまきではない」という意見もありました。

以下をみて本当に大変なのは誰かのか考えたいところです。
【TheNewYorkTimesの震災写真参照】→http://p.tl/rasm 注:震災が人事に感じる人は見てください。主被災地の方やその関係者は十分辛い思いをされているのでお勧めできません。)。

もちろん本当に困っている人に限定して「手当」するのは良いと思います。「手当」ってそういうことですよね。しかしこれは収入に関係なく一律に支給するのはやはり「ばらまき」だと思います。

そうして毎年3兆円をばらまくことで,子どもに借金の肩代わりをさせることになります。親ならば決してやってはいけないことの一つではないでしょうか。

また何千万,何億という単位の仕分けもいいのですが,兆単位の仕分けをしなければ焼け石に水のようにも思います(億は兆の1/10000です)。京都議定書や子ども手当を仕分けして復興に役立てた方が建設的でしょう。





原発の代替え電力に話を戻すと,当面は原発の代替えとして火力発電でいくべきです。CO2など気にしてはなりません(この事態に陥ってさすがにCO2削減ゲームなどやっている場合ではないと思ったのか全体的にそのように動いています)。

その他にも,メタンや石炭といった地下資源の活用,風力,水力,海流,地熱,太陽光,スマートグリッドといった可能性のある代替エネルギーの実用化を複数同時並列的に進めるべきです(どれか一つだけでとか,いくつかに絞ってという方法は失敗したときのリスクを考えると有効ではないでしょう)。

研究開発費もそうしたところにつぎ込むべきでしょう(ただし最初に予算を与える方式だけでなく,実質的な成果をあげた人に成功報酬を与えるという形も必要です)。

万が一特定の政治家や団体,会社,組織(裁判所も含む)などが「利権」を守ろうとして画策してくることのないように,国民が意識を高くしてそうしたことをさせないよう監視していく必要があります。

原発がこうなった今,もうそうした利権争いのもとで不幸になる人を僕は見たくありません。

幸い「代替エネルギー関連の特許、日本が世界の55%を占め圧勝http://p.tl/4wJS
」ということなので,日本人が本気にさえなればこうした逆境をバネに飛躍できるはずです。

そして石油によって振り回されることのない経済的安定を手に入れるでしょう。
そのときには電力の問題など問題にすらなっていないに違いありません。


その先に僕らが目指す未来があるのだと思います。




【参考資料】

以上の環境問題に関する議論は主に池田清彦の理路に基づいています。最近の最もわかりやすい良書として以下のものをお勧めします。

池田清彦 2010 環境問題の新しい教科書 新潮社→http://p.tl/li0v

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価格:420円(税込、送料別)




・『持続可能な社会をどう構想するか-構造構成主義研究4』→http://ow.ly/4mcIH






(早稲田大学大学院商学研究科 西條剛央)

・転載等ご自由にどうぞ。

・その他の大震災関係の記事はこちら→http://p.tl/J9Xt






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Last updated  2011/04/04 07:47:01 AM
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