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西條剛央のブログ:構造構成主義

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西條剛央

西條剛央

2011/04/14
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カテゴリ:東日本大震災
早稲田大学の総長さんにも全学を挙げて「ふんばろう東日本プロジェクト」に協力してもらえないか相談してみよう。以前だったら一教員が怖れ多いとか思い動かなかっただろうけど、そんなことは関係ない。一人の人間が一人の人間に現状を伝え、支援をお願いするというだけのことだ。

一介の教員が早稲田全体を動かす。ふつうに考えたら無理だと動く前に諦めるだろう。けど動かなければ何も変わらない。動けば“可能性”が生まれる。それはとてつもない大きな可能性になる可能性を秘めている。

実際に僕等の活動だって、いてもたってもいられず、現地でガソリンが回り始めたタイミングを見計らってバンに支援物資を満載にして、北川さんと松前さんとともに、仙台に向かったことから始まっている。それはわずか10日前ぐらいのことで、今これだけ大きな流れになっている。

動かなければ何も変わらない。何もしなければ誰も救えない。それだけは確かなことだ。被災者の人の中には、次第にすべてを失った自分達が置かれた現実をまざまざと見せつけられ、絶望して自殺するひともでてくるだろう。

地震は止められない。亡くなった人も生き返らせることはできない。しかしそういう人に希望を与えることは僕等にだってできるはずだ。もう一度前を向いて生きてみようと思ってもらえるように、僕等にできることはあるはずだ。

テレビでは復興が始まっているかのような報道がされているけど、避難所の生活はひどくなっている一方だ。1ヶ月が経ち避難所のストレスはピークに達している。未だ何万人もの行方不明者がいて、その家族や親戚が何十万人もどこかにいるはずの愛する人を探し続けている。





行方不明だった伯父さんは一昨日発見された。大好きな伯父さんだ。連絡がきたとき、頭ではもう無理だと思っていたけど、一瞬目の前が真っ暗になった。メールで残念だ...というと、母は「これでおじちゃんは皆のとこに一月あまりで戻りました。良かったわ。見付かったのよ!」といった。

そうだ、見つかっただけ良いのだ。哀しいけど良いことなのだ。いとこたちは震災の翌日からずっと毎日探し続けていた。まだ見つかっていない何万人という人を、その何倍何十倍もの人がこれからも探し続けるのだ。こんな哀しいことってあるだろうか。

実家に帰ったときも母は一度も涙をみせなかった。娘さん(いとこ)はいつも泣いていたけども、見つかったときはほっとしたといっていた。息子さんは発見される数日前に偶然伯父さんの車を見つけた。二人でうちらよくがんばって探したよねと褒め合ったんだよ、といっていた。

今日、火葬されました。10人しか入れないので仙台にいる家族だけで送り出しました。早く火葬してもらえてよかったねといってました。伯父さんの好きなものを入れて、しめっぽく送り出されるのは好きじゃないだろうと息子さんは明るく話したそうですが、最後はみんな泣いていたと母は言ってました。

娘さん(いとこ)は、「一年前のおにいちゃんの結婚式に呼んでくれてありがとう。ビデオにお父さんが笑顔で映っていて一生の宝物になったよ」といってました。

葬儀は混んでいるため来月になりそうとのことでした。





僕は自分の中でもう無理なんだと思ったとき一晩泣きました。妻も一緒に泣いてくれました。そして一昨日も一通り泣きました。今も泣いています。でも明日からまた前を向きます。

東北の人は我慢強いです。人前で涙は見せません。避難所の人も明るく振る舞っていました。でも一人のとき泣いているはずです。支援物資もこちらからいわなければ求めてきません。でもすべてを失っているのです。辛くないわけがありません。





ある避難所の代表に、ボランティアを集めたり、雇用創出のためにも、支援金を集められるように口座を作ってくださいといったのですが、「そこまでしてもらうのは申し訳ない」というのです。すべてを失っている人たちが集まっているのにです。

「すべてを失っているんですから支援金をもらうのは当然のことです。役所の人はお金をもらえるからよいですが、でもこのまま食糧配給も打ち切られて生活しなければならないとなったとき職も何も失ったみなさんはどうするんですか。生きていけませんよ」と説得してようやく決断してもらえました。

慎ましやかな東北人は現状を変えようというより、我慢するという方法をとります。でも家族も家も仕事も地域も失って、辛くない人なんて一人もいません。みんな見せないだけで泣いているのです。それは強さでもありますが、限界もあります。





陸前高田市の消防団の分団長さんは、会いにいった人に淡々とおっしゃったそうです。「俺も妻と娘を失っちゃったからさ・・・」「みんなそうなんだよ、ひどい団員だと家族全員と仕事と家、ホントに全部奪われた奴もいるんだよ」って。「でも、それどこじゃないじゃん」と淡々と。

僕も何度も電話で話していますがそのようなことはおくびにも出していませんでした。ただこの人は何が何でも生き延びた人を守ろうとしている、という鬼気迫る静かな気迫を感じていました。家族の敵討ちじゃありませんが何かそれに類した気持ちもあるのかもしれません。





東北は発信力がないです。東京で活躍している人だって他の地域と比べれば多くない。かなり少ないといってもよい。

こういうことをここに書くべきかどうか迷いましたが、一人の人間が亡くなり、行方不明になったりすることがどういうことなのか、そしてそういう人が何万人もいるということがどういうことなのか、知ってもらう必要がある、そのためには伝えなければならないと思って書きました。

言わないから、伝わってこないから、哀しみは通り過ぎたと思っているひとはたくさんいます。それはある意味仕方がないです。でも実際には哀しみと苦痛の中にいる人が何万人、何十万人といるのです。

そういう人たちに対して僕らができることがある。それをすることなく、見て見ぬふりをして、多くの人が絶望して自殺したとしたら、それは人災だと思う。見殺しにするのと同じだと思う。僕にはそんなことはできない。

自分がしたいからするそれが本当のボランティアだろう。でも現状を知らなければ関心すら生じない。やり方がわからなければ気持ちがあっても支援しようがない。だから「ふんばろう東日本プロジェクト」のような仕組みが必要なのだと思う。

僕は自分にできることはすべてすると決めました。できっこないというリミッターを外しました。少しでも被災者の支援になることがあるならば、可能性があることはすべてやります。東北の雄仙台の人、東北六県の人も立ち上がりましょう。東日本、西日本の人だってできることはたくさんあります。







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(早稲田大学大学院商学研究科MBA講師 西條剛央 Twitter(saijotakeo))

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・西條剛央×GACKT×川崎麻世鼎談(「今ぼくらに何ができるのか?--みんなの思いをつなげる新たな支援システムの提案」)、Ust→http://www.ustream.tv/recorded/13965863







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Last updated  2011/04/23 11:44:04 AM
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