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カテゴリ:織田作之助
織田作はそもそも劇作家を志望しており、三高先輩の森本薫に憧れや競争心を抱いていた。
伊吹武彦(『ボヴァリー夫人』やサルトル訳)、桑原武夫(『赤と黒』訳)、大山定一(ゲーテやリルケ訳)、山本修二(米英近代演劇)など恩師の影響を受けて欧米の近代文学を読み漁った。 織田家家計簿やその類の蔵書が数多く記され、織田文庫(中之島図書館内)に保管されている。また、織田作原作の演劇の公演状況を調べるべく、『演劇年鑑』(日本演劇協会)を図書館で閲覧したが、その中に俳優座、文学座、民芸など新劇団が頻繁に欧州の作品を演じているのを目にした。ところが、ほとんで作品を読んだこともなく、演劇を観たこともないとは、恥ずかしく思った。 このような刺激を受けて、遅まきながら、斯界で人気の戯曲や小説を読み漁ってみた。通観すれば、概ね現代の民主的な社会へ移行する前の18、19世紀における貴族、地主階級が支配する封建社会を背景に女性が目覚め、自立的に行動する姿を描いている。しかし、そのことは喜劇的であっても悲劇に終わる。 これら読んだ作品が、織田作の文学にどのように影響したのか。『赤と黒』のジュリン・ソレル的な青春ロマンは織田作が小説に踏み出すきっかけになったと解釈されている。 では、その他欧州文学は、織田作の作品に養分として取り込まれているのか、具体的な考察がなされているのだろうか。そうでなければ、今後の残された研究テーマとなろう。 最近読んだ近代文学 モリエール『人間ぎらい』『守銭奴』 ルナール『にんじん』(織田作の尊敬した井上正夫劇団が上演していた) モーパッサン『女の一生』 フローベル『ボヴァリー夫人』 デュマ・フェス『椿姫』 ゲーテ『若きウェルテルの悩み』 シュトルム『みずうみ』 イプセン『人形の家』 ツルゲーネフ『初恋』 チェーホフ『桜の園』『かもめ』 ローレンス『チャタレー夫人の恋人』 シェクスピア『ロメオとジュリエット』(近世) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年06月30日 18時27分36秒
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