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カテゴリ:織田作之助
一昨夜、織田作之助の初出原稿を編纂された(「俗臭・織田作之助初出作品集」)悪さんを特別ゲストに招いて、織田作読書会を法善寺前の上方浮世絵館で催した。
大阪の岸和田出身で、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程(各国文学・文学論)を経て、東京の出版社の編集ディレクターをなさっているだけに、織田作の特質を作品や資料にもとづき鋭く考察する内容であった。まず、小学生の頃から太宰の作品に興味をもたれたとのエピソードの紹介にはびっくり。 悪さん、初出稿の掲載された貴重な雑誌も持参され披露されたが、佐野周二へと織田作の贈本のサインがある昭和18年刊行の「文芸」誌にはびっくり。 戦時、エロや姦通の記載がタブーだったなかで、発禁(削除)を招くのにも挑戦して書いた初出原稿は貴重である。 織田作が描いた対象人物が、悪さんによれば「行き場のない人間」ということで、小商売人や職人というエリートサラリーマン層とは異なる底辺で、生きるために金を細々稼ぐ人々である。 フィリピンの道路工事のために出稼ぎに行った佐渡島他吉を主人公にした『わが町』については、昭和17年というその国策的な背景が浮き彫りにされた。だがさすが、決して英雄を描かず、庶民のやったるで人間を登場させて、必死に働く庶民の眼から時代感を浮き彫りにしている。 織田作にとって、「戦後」とは何か? 戦後の作品には逆に暗さが(『夜光虫』『夜の構図』『土曜夫人』)があると、悪さんは指摘された。今後とも、戦後の織田作が風俗的作品を描いた心情は明確でないように思われた。 読書会の終了後も、お好み焼「おかる」で交歓会、2次会にも行き盛り上がるも、終電ぎりぎりで帰宅。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年07月17日 10時13分34秒
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