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カテゴリ:物の見方考え方
『走れメロス』『山月記』『藪の中』『桜の森の満開の下』と『百物語』を、森見は京都を舞台にした青春(学生)小説にアレンジしている。
同一人物が他篇に登場したり、ほかの書で見かけたような人物がここに登場しているから、いえば人物の使い回しであることから、わりと狭い共通の世界の物語との感を抱かしめる。 その登場人物は、学業よりも、異端な個性をもつ学生が寄り集まる、たとえば詭弁論部などマイナーなサークル活動にはまっていることが多い。 新釈「走れメロス」は、友を人質に差し出し、裏切って逃げまくるという反友情物語、「逃げろメロス」といえる内容。 「山月記」は大文字山を設定するあたりが、面白い。「藪の中」は映画サークルの監督が嫉妬にかられて製作する映画だ。 とにかく、全篇が、よじれた関係の友情や恋情の青春物語に置き換えられている点に森見らしさが横溢しているし、京都市内の名所を舞台にすることで物語を惹きたてている。 森見は織田作之助の作品にも興味をもっているので、こちらの新釈も期待する。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年05月08日 11時42分29秒
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