|
カテゴリ:酒本
2007年に単行本は刊行されているもので、本書は古本で買って読む。
すでに2004年に事故で脳内血腫で亡くなっている作家の中島らも(享年52)と2005年に心不全で亡くなったフォークシンガーの高田渡享年56)、ならびに競馬評論家の井崎脩五郎、プロレスラーの蝶野正洋、漫画家かのみうらじゅんの5人へのインタビュー記録である。 酔客といった生やさしい連中ではない。気違い酒の面々の実相が、インタビューが進む、すなわち飲酒が進むにつれて明らかになる。 らも、初め寡黙だったが、冷酒4杯目あたりからエンジンがかかり、インタビュアーに乗せられて、大小便の失禁の話へ。だが、肝機能障害で、『せんべろ探偵が行く』の頃のような乱痴気ぶりや精彩に欠けている。アルコール中毒への闘病を描いた『今夜すべてのバーで』の後に摂生を余儀なくされているのだ。 井崎もほぼ毎日のように一升酒で、下痢のしっぱなし、軟便友の会の会長という。銚子が次々倒されるにつれ、調子にのってびろうな失敗談が次々。 こんな 乱痴気な評論家だったとは知らなかったが、昔、競馬をやってた頃に、彼の予想馬券は買わないようにしていたのは、正解だったのだ。 蝶野は新日本プロレス時代の、先輩レスラー達の、旅館を破壊するほどのはちゃめちゃな酒バトルと乱闘騒ぎを披露している。 いちばん面白かったのが、ゲロ、失禁、脱糞、頻尿なんのその、話題がユーモラスにぽんぽんと多岐に跳ねる高田渡であった。作家の話も出て、「太宰治と飲んでても、おいしくないと思う」「坂口安吾と、悶々とする中で飲んだほうが、たぶんおもしろいと思う」、そして「志賀直哉、あんないちいち理屈をこねるジジイとは飲みたくない」。島尾敏雄や山頭火の話にも及んでお開きとなる。 高田渡は詩人、石原吉郎の「酒が飲みたい夜」に曲を付けて歌っているが、あらためて聞いてみたくなった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年05月31日 00時11分51秒
コメント(0) | コメントを書く
[酒本] カテゴリの最新記事
|
|