|
カテゴリ:詩情俳趣
ほぼ毎年この季節、淀川左岸の城北公園(旭区)にある菖蒲園へゆく。平日3時頃で来園者は少なく、手押し車の家人ともどものびのびと、咲き誇る花菖蒲を鑑賞して回れた。
品種は江戸、肥後と伊勢の三系統に分かれる。その違いはパンフにあるが、それぞれ入り混じって200種以上植えられており、造形感覚の鈍い余輩には、系統だって掌握することが難しい。妖艶に花弁の垂れ下がった濃紫系よりも、小町娘(江戸系)、紅唇(肥後系)、夕鶴、月桂冠など清楚なうす紫や青系の花が好きではある。ともかく、できるだけカメラに収めて、後で整理するしかない。 参考 http://www.youtube.com/watch?v=UO62lDAL5BA&feature=related 堤防に昇ると、来場者が並ぶ椅子席の前の草地に数人が川風に吹かれながら何やら謡っている。 受付の女性に訊くと、今日は昭和20年6月7日の大阪大空襲の日にあたり、能、謡曲・仕舞の会を催して、空襲で亡くなりこの堤防で焼却した千人以上の身元不明者の霊を慰めているとのことであった。演目は淀川にゆかりの「江口」や「芦刈」が盛られていた。 3年ほど前にも、ちょうど6月7日にたまたま来たことがあり、ブログに記したが、このような催しはなかった。1mほどの小さな千人塚に合掌し、碑を見ると、当日の大空襲で数万人が亡くなったと明記されていた。 織田作が昭和21年に発表した『世相』にある「思えば私にとって人生とは流転であり、淀の水車のくりかえす如くくり返される哀しさを人間の相と見て、その相をくりかえしくりかえし書き続けて来た私もまた淀の水車の哀しさだった。」の記述が想い起こされる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年06月08日 00時16分52秒
コメント(0) | コメントを書く
[詩情俳趣] カテゴリの最新記事
|
|