ミュージカル「ザ・オダサク」いよいよ上演
ミュージカル「ザ・オダサク」(南座)昨年、大阪松竹座と新橋演舞場で催されたが、京から神奈川芸術劇場で、ゴールデンウイークには京都・南座で上演されます。織田作之助役が内博貴、脚本・金秀吉監督、演出・錦織一清。女優は姉役・姿月あさと、妻一枝役・愛原実花のタカラジェンヌ。今回は志賀直哉も登場。オダサクは心境的私小説を奉じる志賀崇敬派に反発し、戦後、偶然性、虚構のロマン小説(「それでも私は行く」「夜光虫」「夜の構図」「土曜夫人」)に挑戦している。その文学思想が絶筆「文学の可能性」に示された。学習院派の貴族ぼっちゃん、志賀とは対照的にオダサクは貧乏長屋育ち。差別される不条理に反発し、自尊心に目覚め、三高に入学、ついに人気作家となることによって「貧乏の可能性」を体現したのだ。この時代、高等教育を受けて、作家になるのは富裕層出身者が多かったから、オダサクは例外的である。では、なぜ進学できたのか、誰が支えたのか、それがこのミュージカルで明らかである。