カテゴリ:遊遊漢字学が楽しみ♪
古のわが国は中国より伝来した世界に類を見なない優れた表意文字・漢字を国字とし、その漢字より独自に作り出した文字、平かなとカタカナを組み合わせた漢字仮名混じり文で文章を表現するという、極めて合理的な表現方法を編み出しました。 一方漢字の本家本元の中国では、漢字にこだわったがゆえにすべての言葉を漢字で表さなければならない。ゆえに膨大な数の漢字が作り出され、一文字が20画も30画もある漢字も出現してしまった。その膨大な文字を暗記するというのも大変なら、文章を書くにしても画数が多ければ時間がかかるという欠点を余儀なくされたのは言うまでもありません。 さらには、時代が新しくなって欧米の文化が入って来るようになると、その新しい外来言をどう表記するかという問題に直面することになった。 毎週日曜日のお楽しみ、漢字学者阿辻哲次氏の日経連載「遊遊漢字学」。 今週の講座は、もともと中国になかったことばをどう漢字で書き表すのかということがテーマでした。 阿辻先生曰く、漢字はその本質が表意文字であるから、外来語も単語本来の意味に即した漢字で訳すのが普通であると。 すなわち、サッカーを「足球」、ピアスが「耳環」、アレルギーは「過敏反応」、ホームページが「家頁」のごとく。 う~む、上手く考えるものですね。まさしくアレルギーは過敏反応そのもののことですし、ホームページにいたっては、「ホーム」と「ページ」を直訳してある。まるでクイズの回答を見ているようでもあります。 わが国ではサッカーを「蹴球」、ピアスを「耳輪」と表現することもあるようですが、同じ漢字文化圏でも微妙な違いがあるのは、実に面白い。 では最新科学技術の分野の言葉を中国ではどう漢字で表しているのかと調べてみると、テレビは「電視台」、ラジオが「廣播電台」。コンピューターは「電腦類」、パソコンは「個人電腦」。インターネットは「網際網路」。 まあ、我われは幼いときより国字として漢字を習って来ましたから、「網際網路」は少し首を傾けなければ出て来ませんが、「電腦類」がコンピューターだとわかれば、「個人電腦」はすぐに想像できますね。 ところがソフト(ウエア)を「軟體類(ルワン・ティ・レイ)」、そのソフト上の欠陥をいうバグを「蟲子(チョン・ツー)」となると、降参ということになってしまいます。 ソフトウエア上の細かな欠陥を蟲(むし)と結びつける中国人の発想は、表意文字たる漢字への並々ならぬこだわりが垣間見れるといえましょう。 ところがそんな中国人でもどう考えても表意をもった漢字が見つからないということもあるようで、自動車のアクセルになると、「阿克塞爾(ア・ク・セ・ア)」とストレートに音で表現しています。ちなみにブレーキのことは「煞車(シャー・ツー)」と「煞」という見慣れぬ漢字を用いて表意文字本来の表し方をしています。調べてみると、「煞」は音が(サツ、 サイ、 セツ)で、訓が「ころす、そぐ」という意味を持っています。 私なんぞに言わせれば、あくまで表意にこだわってブレーキを「煞車」などと難しく表現するくらいなら、アクセルを「加速板」とでも書けばよかろうになどと思ってしまいますがね。(笑! さてここまで書いてくると、皆さんはわが国の漢字かな交じり文の優れた表記方法にお気づきになられたに違いないと思いますが、阿辻先生はさにあらず。「中国語の外来語の作成方法に比べると、カタカナに置き換えるだけの日本の外来語は、ちょっとお手軽過ぎると私には思える」とおっしゃっておられるのには驚き入ります。 阿辻先生、それは先生が漢字をご専門になさっているひいき目じゃないですか? ・・・う~む、しかし、これまで私も「遊遊漢字学」でずっと学んで来ましたからね。世界に類を見ない優れた表意文字・漢字の漢字たる所以は、まさに表意にあるわけですから、さすがは阿辻先生。感服仕りましたと申し上げておきましょう。 これを漢字二文字で「忖度」というなどと、おっしゃらないでくださいね。(大爆笑! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年12月24日 12時22分05秒
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