カテゴリ:本
天は二物を与えずといいますが、何ごとにも例外があるのは世の常でもありましょう。例えば文壇に目をやれば、作家にして医者という大きな二足のわらじを履いているという人いますね。 まずすぐ名前が出るのは、明治の文豪・森鴎外。鴎外は軍医でしたね。斎藤茂吉は歌人にして精神科医。その子息である北 杜夫も父同様精神科医で作家。手塚治虫は医学博士でありながら、医者の道に進まなかった変わり種。まあ、その種は言うまでもなく大天才の種だったわけですが。 昭和・平成にまで時代を下ると、「失楽園」の渡辺純一は確か外科医でなかったか。時代小説で次から次へヒットを飛ばす上田秀人は、歯科医師の顔を持つ。 もう一人私の好きな作家をあげるとすれば、篠田達明。かなりお歳を召されたようですが、整形外科医としての知見をもとにした『モナ・リザは高脂血症だった』『徳川将軍家十五代のカルテ』『歴代天皇のカルテ』『偉人たちのカルテ』などのユニークな作品を書いている。
ところで近頃の若い医者は、カルテに記入された検査データばかり見て、患者を診ようとしないと言われて久しいです。大きな病院へ行けば、レントゲンを撮られ、血を採られ、尿を調べられ、あれやこれやの検査、検査検査の連続。それだけで半日を費やしてしまう。ようやく診察室に通されてみれば、若い医者が検査データが打ち込まれたパソコンのモニターを見つめながら、こちらを向うともせず、「〇〇の数値が異常ですねぇ~」などと言うだけ。数字が高いか低いかぐらいなら、私にだって言い当てられる。 その昔名医と言われた医者は、まず「どうなさいました?」と患者の顔色を優しくうかがったものです。 篠田先生こそ、患者の顔色どころか名画に描かれているモデルの顔を見るだけで、ピタリと隠れた病気を探り当てるという名医。 篠田先生は、かの名画を見ただけで、モナ・リザは高脂血症だったと診断されています。 皆さんも『モナ・リザの微笑み』に隠された意外な病気の秘密を探ってみてください。 『モナ・リザは高脂血症だった』お奨めの一冊です。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年03月19日 11時50分05秒
[本] カテゴリの最新記事
|
|