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今読んでいる本、上田秀人著 辻番奮闘記 四 「渦中」 江戸時代にあった武門のさまざまな役職に注目し、その職に就く主人公をヒーローにしたてたストーリーを書かせたら右に出るものがいないといえる著者が、今回取り上げたのは「辻番」。若き平戸藩松浦家の江戸詰藩士・斎弦之丞(いつきげんのじょう)の活躍を描く。 時代背景を巧みにストーリーに盛り込む天才上田が、今回取り上げたのは「タイオワン(台湾)事件」。 寛永5年(1628年)、当時の長崎代官・末次平蔵が台湾での貿易の権益を巡ってオランダと衝突し、平蔵配下がオランダ台湾政府長官を人質にして長崎に連れ帰ってしまったという事件。この紛争が幕府の耳に入り貿易に影響が出ることを恐れた平蔵と平戸藩主・松浦隆信が、「台湾でのオランダの拠点・ゼーランディア城を将軍に譲れば許す」という内容の偽の返書をオランダに提示しことが発覚して、平蔵は捕らえられて獄死。松浦家には表向きお咎めなしというままに終結したこの事件に、上田は何か裏があったにちがいないと着目したのであろう。 時は三代将軍家光の治世。家康、秀忠にわたって幕府の執政を担った土井大炊頭(おおいのかみ)利勝。秀忠が将軍職を家光に譲るとき、「天下とともに利勝を譲る」と言ったがために、利勝は家光の世でもその権を欲しいままにした。 家光とその忠臣・松平伊豆守信綱、安倍豊後守忠秋、堀田加賀守正盛らにしてみれば、目の上のこぶ大老土井利勝を何としても排斥したい。そこで知恵伊豆と呼ばれた信綱は、十数年前に起こった「タイオワン事件」に利勝が関与していたのではないかと考えた。 「大炊頭が隠し交易に関わっていた証を探し出せ」 老中首座・松平伊豆守信綱の密命が松浦家に下だり、弦之丞は江戸から長崎の地に赴任することに・・・。 幕府、藩、大商人など、個々の利権を巡る闘いに巻き込まれ苦悩する若き辻番頭・斎弦之丞。はたして弦之丞は、この難局を切り抜け、見事藩の窮地を救うことができるのだろうか。 にほんブログ村 FC2ブログランキング 人気ブログランキング PINGOO! ノンジャンル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年02月24日 14時22分08秒
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