カテゴリ:本
江戸時代にあった武門のさまざまな役職に注目し、その職に就く主人公をヒーローにしたてたストーリーを書かせたら右に出るものがいないといえる著者が、今回取り上げたのは「町方同心」。しかも、大坂・東町奉行所の同心というのですから、これは筆者が大阪在住で歯科医院を開業なさっていた境遇を考えれば、さもありなんと言えましょう。今は作家一本に絞っていらっしゃるということですが、まあ、これだけヒット作を続けられれば、二足の草鞋も履きづらくなるのは仕方ないですかね。 上役の筆頭与力・和田山のわけありの娘を承知のうえで娶った大坂・東町奉行所の同心・山中小鹿(やまなか・ころく)であったが、不貞をはたらいた妻を義父の和田山に公然と突っ返すという所業に出てしまった。結果当然のことながら、奉行所に出仕しても居づらい毎日に甘んじなければならなくなった。 一方西国三十藩以上の年貢米を大坂へ廻送し一手に売る権利を有することで、莫大な富を得た米問屋淀屋は、その金を大名に貸すことによってさらにその富を膨らましていた。参勤交代の折には淀屋に寄って挨拶をしない大名はいないとまで言われるようになった。 武士が商人に頭を下げるとは何事か。幕藩体制の根幹にかかわる重大事。これを野放しにしておくことは出来ない。ついに時の老中首座・土屋相模守が立ち上がった。 俊英の目付の中の一人を新たな大坂町奉行に選んで二人体制とし、新しい奉行に密命を与えた。 「・・・淀屋をつぶせ」 まさに題名にあるごとく、「武商繚乱」の「戦端」が切って落とされました。 新しい奉行の配下として選ばれた山中小鹿に、果たしていかなる難行が待ち受けるというのか。上田ならではの筆が冴えわたります。 にほんブログ村 FC2ブログランキング 人気ブログランキング PINGOO! ノンジャンル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年09月14日 20時47分14秒
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