シングル母のアメリカ暮らし

うちは母子家庭だ。子供達は週に１日、父親のところに行くが、基本的には私と一緒に住んでいる。学校その他の送り迎え、食事、洗濯など基本的な事はすべて私がやっている。そして仕事ももちろんしているし、学校の宿題、ペアレント・ミーティングの参加なども全部私。元夫は週に１回食事に連れていって、子供と遊ぶだけだから、何だかおいしいとこ取りだよねーと思ったりもする。
でも養育費ももらっているわけだし、何より私自身は子供となるべく一緒にいられる生活を選んでいるのだから、あまり文句を言いたくはない。

私自身、父が早くに亡くなっているので、母子家庭で育っている。経済的に余裕はなかったけど、辛いとか寂しいとか思った事はない。妹、弟と歳が近かったし、毎日騒いで生活していたのでけっこう楽しかったと思う。

今、いろいろ思い出すのは食卓の風景である。
母は働いていたけど、毎日ちゃんと食事は作ってくれていた。贅沢なものはない。ふかしたじゃがいもにマヨネーズをつけてフウフウいいながら食べたり、そうめんを喉元まで詰め込んだり（そういえば、昔のそうめんにはかならず、ピンクと緑のそうめんが混ざっていた）。残りご飯で作ったきなこだんごに小躍りしたり、すいとんなんていうのも、良く食べたっけな。そうそう、母はカニかまぼこをカニと偽って私たちに食べさせたので、高校生の時に大恥をかいたのである。

日曜の食事は特に楽しみだった。
朝は必ず目玉焼きとトーストとインスタントコーヒー。普段は和食の朝ご飯も日曜だけは特別。コーヒーもこの日だけ許された。
夜はカレーの日が多く、「笑点」と「サザエさん」を見ながら食べるカレーライスはことのほか、おいしかった。

今、働きながら毎日夕飯をこしらえる事が、どんなに大変か身を持って経験している。本当に母には感謝している。一説によると夕飯を作る音というのは子供の情緒を安定させるという。ウソかマコトかは知らないが、少なくとも情緒に悪影響を及ぼす事はないだろうし、できるだけ「母の味」という思い出を身体のどこかに刻みつけてくれたらいいなと思っている。

というわけで、自分を鼓舞するためにも、本日より夕飯献立を毎日日記の最後に書き込むことにします。


本日の献立：豚肉のポットロースト、パスタ入り野菜スープ、いちご