シングル母のアメリカ暮らし

結婚していた頃は、相手の好きなものをよく作っていた。
けなげな妻であった。
クラムチャウダー、親子丼、ドリア、各種キャセロール、
ピザにクリームコロッケ、ミートローフ。

何しろ、チーズ・クリーム・バターなどを多用した
こってりまろやか系のものが好きだった元夫。
逆にスパイスやニンニクのきいたもの、辛いものが苦手だった元夫。

どうりで合わなかったわけだな。

私はバターが苦手。チーズもたまになら、という程度。
逆にスパイスやにんにくの効いた料理を食べると
喜びで昇天しそうになる。

離婚して何がうれしいって。
自分の好きなものを好きな時に好きなように作って食べられる事だ。
子供の好きなもの？とんでもないです。
やつらのいう事を聞いていたら、毎日マカロニチーズだの、
唐揚げだの、エビフライだの、になってしまう。

子供の頃、切り干し大根とか、フキの煮物とか、
ウドの酢みそ和えなどというものは見るのも嫌なおかずだった。
今はたまに無性に食べたくなる。
食べたくなるという事は、味を知っている、知っているという事は
ちゃんと食べていたのだ。

だから子供がハンバーグとスパゲティしか食べないからって、
そんなものばかり与えていたら、大人になって、
懐かしい味というものの範囲がせばまってしまうではないか。

だから私は自分が食べたいものを中心に、できるだけバラエティに
とんだ食生活を送りたいのだ。などといいつつ、別居し始めた当初は
取りつかれたように和食ばっかり食べていた。

ふと気がつくと、うちの息子たちの食生活がやや老成化してきた。
いわしの丸干し、ふろふき大根、おからに冷や奴、
納豆にはじゃこをいれてね、なんてリクエストがくる。
まずい。このままでは嫁が来ないかもしれない。
「ハニー、朝から魚なんて焼かないでちょうだい！」なんて怒られて。

なので再び、洋風のものも取り入れるようになった。
最近は和洋折衷どころか中近東にまで足を延ばし、各地の家庭料理を
研究中である。（研究と言うほどのものではないですわね、ホホ）

うまい下手はともかくとして、料理を作るのは好きである。
それもひとえに食い意地がはっているゆえである。
外食は高いし、子連れじゃ落ち着けないし、出かけるのも面倒くさい。だから、作る。
失敗する時もあれば、「なんて素晴らしい腕前なの」と自画自賛する
日もある。面倒な時は何か買ってきたりする。
義務と苦痛にはしたくないから。

今は私の手料理より、マカロニチーズやマクドナルドを喜ぶ子供達。
いつか、くいしんぼうの母を持ったおかげで、そういえばイカものまで食わされたなあと懐かしがってくれる日が来るだろうか。


本日の献立：
たこゲソと野菜のコチュジャン炒め、チャプチェ、ちくわの磯辺揚げ
ゆでたビーツのサラダ、ごはん
（きのうソンさんの話を書いたせいで、今朝からすっかり韓国モードでした）