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カテゴリ:コドモの話、親の話
うちに使い古したスケートボードがある。
次男の宝物だ。 あれはまだ、彼が2歳になったばかりの頃の事。 近くの公園に子供たちを連れて行き、遊具などで遊ばせていた。 ちょっと離れたところにスケートボードで遊んでいる、ティーンのお兄ちゃんたちがいて、次男が彼らのスケボー技を凝視していた。 やがて16、7歳くらいの二人の男の子が地面に腰をおろし、話を始めたところに、次男が走って行って、二人の真ん中にむりむりっと割込んだ。私はあわて息子を動かそうとしたが、頑として動かない。彼らはちょっと笑いながら「別にいいよ』と言ってくれた。 そのうち、一人の男の子が「ヘイ、バディ、スケボーやるかい?」と息子に話しかけ、彼をひょいっと持ち上げると、スケボーの上にのせた。そして手で体を支えたまま、ボードごとすべらせたのだ。 息子、大興奮。 そのうち、彼らはうちの息子で遊び始めた(遊んでくれた、というよりは。) 息子ののったスケボーはくるくる回り、一人が息子をひょいっと持ち上げると、もう一人がスケボーをガタンと回転させる、といった具合に。 息子、狂喜乱舞。 みているこっちはハラハラしたが、けっこうそれなりにちゃんと気をつけてくれていて、そばにいた人たちも、拍手大喝采だ。 「ブラボー!史上最年少のスケボー選手誕生だ!」とかなんとかいいながら。 やがて、彼らはちょっとすまなそうに、「ごめんね、もう帰らなきゃ。」 と息子に謝った。 「ヘイ、バディ、ギブミーファイブ」と手を差し出し、息子の手を取って、自分の手のひらをパチンとたたく。 息子はヘラヘラ笑っていたが、彼らが帰ろうとすると、案の定泣き出した。 「ごめんよー、帰らなきゃ。」といいながら手を振る彼ら。 泣きながら後を追いかけようとする息子。 「お兄ちゃんにありがとう、って言おうね。サンキュー。」と言って止める私。 わんわん泣く息子を抱き上げて、「よかったね、遊んでもらって楽しかったね。」なんて話しかけていたら、一人のお兄ちゃんが戻ってきた。 手には古びたスケートボードを持っている。 「Hey, this is for you」 そういって、息子にそれを差し出した。 私が、「そんなことしなくていいよ、あなたのでしょ」というと、 「これは一番最初に買ったボードなんだ。でも、もう使ってないし、何となく持ってたけど、いいよ、あげる。」 そう言って、息子の前にカタンとボードを置くと、恥ずかしそうに笑って走り去ってしまった。 5歳になった息子は、しょっちゅうこれにのって遊んでいる。 もちろん誰がくれたかなんて事は覚えちゃいない。 でもこの古びたボードは、私にとってすっごく素敵な宝物なのだ。 アメリカのティーンもなかなか捨てたもんじゃないなって。 息子たちもあんなティーンになってくれたらいいなって。 本日の献立: 砂肝のニンニク醤油炒め、エビの塩焼き、野菜スープ (金曜日なのに、今日はちゃんと作ったぞ、エッヘン) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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