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テーマ:ゴハンな話(450)
カテゴリ:食べてばっかり
引っ越ししたときの事だ。
ガレージの食品棚の奥から、手つかずの食パンが出てきた。 あ”。 しまった。 忘れてた。 何ヶ月も前に「Buy one get one Free - 1個買ったらもう1個はタダ」で、 ふたつ買ったのだ。というよりもらったのだ。 アメリカの食パンは下手すると日本の企画サイズの3斤分くらい入っている。 普段はなるべく作ったり(もちろん作ったのはホームベーカリー)、オーガニック全粒粉などのパンも買ったりしているが、たまにこういうふわふわのやわらかいパンも食べたくなるので買う。 でも日本の5-6斤分あったって食べきれない事もあるのだが、 根が貧乏性なので、スーパー様がもうひとつくださるというのなら喜んでもらう。 で、なぜか一斤が手つかずのまま、ここにこうして現れたのだ。 「ごめんよ。封も切らずに放置して。こんな暗いところにひとり放置されてさぞかし寂しかったろうね。」 取り残されたパンの気持を思い、私はひとり食品棚の前で涙した。(嘘) 期限を見ると3ヶ月前である。 そのままゴミ箱に入れようとして、ふと中をのぞくと。 見た目は何ともない。 カビさえ生えていない。 変色もしていなければ、カタチも変わっていない。 袋の口を開け、匂いをかぐとちゃんとパンの匂いがするのである。 背中にかすかな戦慄が走った。 両手の上の、とっくの昔に賞味期限の切れたパンが、 不敵なうすら笑いを浮かべているような気さえした。 さっきまでの同情心なんかはどこかへ吹き飛んでしまったのである。 「フフ。私が暗がりに一人置かれてくさってたとでも思うの? 私はね、そんなにヤワな女じゃないんだよ。」 パンの声が聞こえた気がして、私はとても気味悪くなった。 髪をたらした貞子のような恐ろしさである。 (わからない人は映画『リング』をごらんください) あわててゴミ箱に飛んでいき、封印してしまった。 いくら湿気がないとはいえ、これはあんまりだ。 先日、元夫実家に行ったとき、何を思ったか元夫がオーガニックのスペルト小麦パンを二つも買っていた。長男は小麦をなるべく控えるように言われているので、家ではスペルト小麦でパンや菓子類を作るのだが、市販のスペルトブレッドはめったに売っていないうえ、値段も高いのであまり買わない。元夫はそういうことに全然興味はなかったはずなので驚いた。 私はあとから実家に行ったので、いつそのパンを買ったか知らないが、カウンターに無造作に置かれたパンを見て、聞いてみた。 「これ、いつ買ったの?冷蔵庫にいれておかないと、すぐカビはえるよ」 そういいつつ、ひっくり返すと、もうすでにカビが生え始めていた。 義母が憤慨した。 「んまあ、それって3-4日前に買ったばかりよ。 それでもうカビが生えちゃうなんて、そのパンはきっと古いに違いないのよ。 そのパンどこかおかしいのね、店に行って取り替えてきましょう。」 無理だってば。(涙) それはやめてあげて。 なんとか店に怒鳴り込まないように説得し、 それだけは思いとどまってくれた元義母。 でもやはり納得はいかないようで、誰かと電話で話すたび そのパンの事とストアのことをおかしいと言っていた。 私はそのスーパーが本当に気の毒になった。 まともな食品を売ったばかりにひどい目に遭っている。 この元実家の州には、しかも州都であるにもかかわらず、 自然食料品店がロクにないのも何だか理由がわかったような気がした。 3-4日、いや、3ヶ月もほっといて くさらないパンの方がおかしいんだよ。 私もそういうパン食べるけど、 でもまともなパンはすぐにカビが生える事くらいは知っている。 自家製パンもすぐカビがくるじゃないの。 (いくらドライ気候のCAでも、だ) 私はそんなに食べ物にうるさいわけじゃないし オーガニックなども買うけれど、 神経質な方ではない。 でもこうやってほっといて、 あきらかに常識の賞味期限を過ぎているのに、 いつまでもいつまでも悪くならない食べ物は、 やっぱり何だか薄気味悪い。 だからといって食べないかと言うと、食べてるんだけどね。 着色料や香料とは違って、 添加物のなかでも、存在感のない保存料。 こういう時に、おのれの存在を主張し、その底力をみせつけてくれる。 こういうものを毎日毎日、日常的にカラダに入れるってことは それなりの覚悟がいる事なんだよなあ、とふと思う。 といいながら、ダイエットコークなんか飲んでる私。 何の説得力もありゃしません。 本日の献立; サバの塩焼き、きゅうりとしその塩もみ、揚げ出し豆腐 ごはん、インスタントみそ汁(これも説得力ないかね) あしたから、海でキャンプ。うっふっふ。遊んでばっかり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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