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シングル母のアメリカ暮らし

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さく408

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2004.10.02
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カテゴリ:母のひとりごと
息子たちの学校の近くに高級スーパーと言われる部類の店がある。
店構えもちょっとエラそうだが、値段もやけに高い。
同じ高くてもWhole Foodsのようにオーガニックや
ナチュラルな良質の製品が高いのなら納得はできる。
だが、この店は、どこにもあるようなナショナル・ブランドが高いのだ。
何故みんなどこでも買えるようなものをわざわざ高い金を払って買うのか。
そしてなぜこの店は商売が成り立っているのか。


高級住宅地にしか、この支店はない。(意味もなく高級感が漂う)
*すみません。どうも高級住宅地でなくてもあるようです。
 Caloriさんありがとー。


そしてデリや鮮魚、肉製品の品揃えが良い。(これはホント)


生花コーナーのデコレーションがお洒落っぽい。(ちょっと無理がある?)


どう考えても、他に理由は見当たらないのだ。

実は私はこの店に月に2、3度足を踏み入れる。
そしていろいろと悩み苦しみながら買い物をする。
高い店で買い物、というくだらない見栄のためではない。
ちゃんとした理由があるのだ。
それは・・・







見切り品コーナー。







先ほども言ったようにこの店の精肉コーナーは
比較的安全な肉類を、しかし決してお安くはない値段で売っている。
確かに品揃えはいいと思う。
新鮮なだけではなく、地鶏や抗生物質を与えていない肉類、
オリジナルの加工品を売っているのだ。


そしてその片隅の冷蔵ケースにひっそりと佇んでいる見切り品。
そこら辺の普通に売っているスーパーの肉よりいい品を、
しかも期限にかなり余裕を持たせて(賞味期限まで3~5日)、
しかも驚くべき値下げ率で置いてあるのだ。
見切りのつけ方がかなり太っ腹なのである。


この店に入るときの私の目的は、
たったひとつ、この見切り品コーナーしかない。
しかし、このコーナーにたどり着くまで
私はいろいろと自己との葛藤に苦しみながらさまよい歩く。
そして支払いを済ませて完全に店を後にするまで、
私の心に平和は来ないのだ。


まず第一に、ここの客層はどうみても平均年収率が高い。
お金にも、時間にも、心にも余裕があるように見える人々。
そこに入っていく私は、どこから見ても
「いいとこの奥様」には見えないのは残念ながら十分承知している。
あなたたちには見下されたくない。人間は中身だ。
と、誰も私を見てすらいないのに、一人息巻く。


その中を自意識過剰にして、さっそうと、しかし
ゆっくりとお買い物を楽しむ風を装って、
何気なく精肉コーナーにたどり着くのである。


そしてポイントは、さらに何気なく優雅な動作で
「あら、これ何かしら」とふと気づいたふりをしつつ、
目で一瞬にして「本日のお買い得見切り」を選り分け、
ささっとカゴにつっこむ。


さてここからが問題だ。


この見切り品には、真っ赤な、しかも大きなシールが貼られ、
その上に真っ黒のマジックでセール価格が殴り書きされている。
どこからみても目立つ事この上ないのだ。


いくら優雅な動作で素早くゲットしても
カゴの中を見れば、私のこの買い物における動機は
誰の目にも明らか。一目瞭然だ。
これはやっぱり恥ずかしい。
そこで、できるだけ、素早く他のものを物色する。


なのでこの店での本当の目的をあまり知られたくない私は、
その隠れ蓑に、牛乳か、パンをひとつ、または二つ買う。
これらはどこのスーパーでも値段に大差はない。
そしてレジで支払いをして帰途につく。
「パンをきらしたから急いできたけど、
ついでにこんなもの買っちゃったわ」という顔をして。


私がこんなにも涙ぐましい努力をし、
さまざまな感情と格闘しながら買い物をしているわりに、
実は誰も私の事なんか気にもとめていないし、
何を買おうが知ったこっちゃないのだ。
そんなことはじゅうぶん承知している。


こういう浅はかな見栄の心をすべて捨て去って
悟りをひらき、欲しいものだけを堂々とつかみ取る勇気があれば。
でもそうなったらそうなったで、ちょっと怖いような気がする。


ともあれ私の定期的なこのスーパーとの戦いは
冷蔵庫に戦利品を納める時にこそ、ひそかな喜びをもたらしてくれるのだ。
ああ、この満足感。誰にも文句は言わせないぞ。




本日の献立;
カップヌードル。(子供がいないとこんなものよ)
ゆうべからお仕事で2時間しか寝ていないので、ちょっとお昼寝。





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Last updated  2004.10.02 14:17:39
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