シングル母のアメリカ暮らし

働きながらの子育ては楽ではないと人は言う。
でも専業主婦の子育てだってべつにラクなわけではない。
語弊があるかも知れないが、働きながらの子育てと言っても、
子供を見ながら働いているわけではなく、
デイケアなどに預けながらの事が多いと思うので、
その間は他人様に預かっていただいているわけだから
働く親に取って有り難いのも事実だ。


子供は散らかす。もらす。吐く。こわす。
それを一心に請け負う専業母だってやっぱり楽じゃないはず。
一日中ずっとつき合っていくわけだからね。
それでもあえて言わせていただくと、
やっぱりシングルペアレントは大変だ。


最近次男が熱を出した。
子供の病気はよくある事だから覚悟はしなければならない。
幸いうちは長男が、もうすぐ９歳になる今日まで、
風邪を引いたのはたったの３回という恐るべき健康優良児なので、
私はラッキーだと思うが、次男は人並みに風邪を引く。
残念ながら、こういう時はたいていとても忙しかったりする。


先週、次男は２日学校を休んだ。
両日とも人と会う仕事が入っていた。
１日めは幸い、元夫のところに息子をおいていく事が出来た。
熱でハアハアしている次男はうちのベッドにいたくて
涙目で「ダディのところに行きたくない。
おうちでママと一緒にいたい。仕事に行かないで」という。
ところがどっこい、とてもキャンセルできる仕事ではなかった。
少なくとも見てくれる元夫がいるのなら、
やはり息子をおいてでもいかなくちゃいけない状態だった。
後ろ髪は引かれたが、仕方のない事もあるのだ。


２日めは元夫に撮影の仕事が入っており、
私の方が何とかなりそうだったので、
ミーティングを延期してもらってうちにいた。
息子が安心したような顔で昼寝しているのを見て、
病気の時くらいは家にいさせてやりたいなあ、とつくづく思った。


とはいっても私の仕事はすべて契約なので、
そうそう断っていては、お次がなくなる恐れもある。
そうなっては死活問題だ。
なので、できるだけ舞い込んだ仕事はすべて引き受ける事にしている。
それでも私くらいの年齢の人がフルタイムで働いている年収には満たない。
元夫からのサポートとあわせて何とかやっていけるくらいだ。


でも私は元夫からの養育費があるだけ有り難いのだ。
ロクによこさない男もいる。
それに仕事が忙しくない時は自営の元夫に
みてもらえるという利点もある。
だからシングル母をふりかざして文句を言う気はない。
私の場合は、だ。


大変だなあ、と思うのは、
経済的サポートもなく、家族や親しい友人もなく、
一人で小さい子供を育てている親だ。


以前、出かけた先で夕飯を取ろうと思い、
他に何もなかったので、子供たちとマクドナルドに入った。
そこにはシングルマザーとおぼしき人々が
子供たちに夕飯を取らせていたのだ。
テーブルでご飯を食べながら、子供たちの宿題を見てやっている。


たしかにマクドナルドで夕飯なんて、
褒められたものじゃないかも知れない。
もちろんいつもそうだとは限らないけど、
働く母親など、定期的に利用している人は多いようだ。
毎日だったら栄養的に問題大あり、だと思う。


でも朝８時頃に家を出て、子供を学校に送り届け、
６時に子供をピックアップして、家に帰って夕飯の支度など
日によっては疲れきっていてできないこともあるだろう。
アメリカの子供たちは宿題がたんまりでる。
親が見てやらなければいけないようなものも多い。
ファーストフードでご飯を食べながら宿題をさせている親たちを見て、
それを責めるような気には到底なれないのだ。


ま、私だったら納豆ご飯か
中華のお持ち帰りになるんですけど。
私も怠け者なので、忙しい時まで手の込んだものは作っていられない。
簡単なものですませるのだ。


私の知っているシングルマザーの中にはすごい人もいる。
フルタイムで働き、残業分は家に持って帰る。
子供は一人だが、いつもこざっぱりした服を着せ、
食事はすべてオーガニックのベジタリアン料理。
間違っても出来合いのものやファーストフードなどは食べさせない。
家の中はいつ訪ねていってもきれいに片付いている。
同じ人間でありながら、どうしてこうも違うのか。


そんな彼女の悩みは子供がわりと体が弱い事。
いちど風邪を引いたら１週間くらい寝込んだりする。
そういう時は家で仕事をするが、どうしてもはかどらない。
どうしてもオフィスに出向かなければいけない時は、
高いお金を払ってベビーシッターを頼む。
でもそれも見つかればいい方だ。
ベビーシッターというのは学生が多いので、
昼間はつかまらない事も多いのだ。
アメリカでは１３歳以下の子供を家に一人で置いておく事は出来ない。

だから子供を寝かせておいて仕事に、なんて言うのは犯罪になってしまうのだ。
もっとも病気の子供をおいて、仕事に出かければならない
日本のシングルベアレントの話など聞くと、
それはそれで切ないだろうなあと思うけど。


そんなことを言うのなら、離婚しなければいいじゃない、と
簡単にいってくれる人もいるが、
誰だって離婚したくてするわけじゃないのだ。
どうしようもなく、ぎりぎりのところで離婚という選択になってしまうのだ。
確かに子供が病気の時などは、専業母だったら、
家にいてお粥作ってあげられたりするんだろうなあと思うけど。
そういう点でどうもフルタイムのサラリーマンより、
不安定でもフレキシブルなフリーランスを選んでしまうのだ。


まあ誰の人生だってそれなりに大変な部分もあるし、
ラクで楽しい部分もある。
シングル稼業はキラクな点だってあるのだから。


それでも、それでも今日は言う。
収入の不安、子供との時間、食事や生活時間の管理、
いろんな苦悩を抱えて頑張っている全国のシングルペアレントの
皆さん、一緒に頑張りましょう。



昨日の献立…自宅でタコス
ひき肉のタコソースいため、リフライドビーンズ、メキシカンライス、
レタス、アボカド、トマト、チーズ、サワークリーム、サルサなどを
トルティーヤにはさんで食べる。