シングル母のアメリカ暮らし

ああ、今夜はちょっと冷え込むなあ、という時、
どこの国であっても温かいものを食べたくなるのは
世の常だと思う。

けんちん汁、鍋物、煮込みうどん、
シチューにいろんなスープ、
チーズフォンデューにグラタン。

何でもいいが、私が好きなのは
野菜がいっっっぱい入った野菜スープ。
ってこれ、何度も書いているけど、
本当においしいのだ。

だいたい私は何でもひとつ買うということが出来ない。
大根のようなものはともかく、
野菜はたいてい３～５本／個などの単位で買ってしまう。
とーぜん余るので冷蔵庫には半端野菜がいつも転がっている。
そうなると定期的に野菜の一掃メニューを考えなければならないのだ。

夏だと、野菜カレー、ラタトゥイユ、野菜のオムレツ。
冬だと鍋物や、シチュー。
でも何といっても身だくさんスープの美味しさにはかなわない。

作るのに、こんなに簡単なものもないのだ。
ひたすら野菜を刻んで鍋に放り込む。
あればあるだけ、放り込む。
種類が多ければ多いほどいい。
スープに合わない野菜はないと言ってもいいほど。


ちなみに今夜の野菜スープに入った野菜は・・・

にんにく
キャベツ
たまねぎ
にんじん
ズッキーニ
黄色いズッキーニ
いんげん
セロリ
ブロッコリー
カリフラワー
コーン
大根
ロメインレタス
トマト
ビーツ


これに別にゆでたパスタを入れて食べた。
基本的に茹だりきってふやけきったパスタは嫌なので
いつも別にする。

ほかにもじゃがいも、コーン、ひよこ豆などがあったので
入れようと思っていたら、もうすでに鍋がいっぱいになっていた。

この野菜スープ、実は好きなのは私だけであって、
息子たちの大好物、というわけではなかった。
だいたい子供で、ピザやパスタやホットドッグより
野菜サラダや野菜スープが大好き、という子は
かなり少ないのではないかと思う。
だから野菜スープの時は、これしか作らない。
他のものを作るとそれでお腹いっぱいにしようとするからだ。
でもそれほど嫌がりもせずに食べるので良しとしよう。

だいたい親には「子供に栄養のあるものを食べさせる」という使命があるのだ。（鼻息）
特に野菜はできるだけいろんな種類をたくさん食べさせたい。
でもうちの子供のように野菜が大好き、というわけではない子供には
いろんな種類やたくさんの量を食べさせるのは難しい。
それができる、数少ないメニューのひとつがこの野菜スープ。
それに何といっても作るのが簡単だし。

ところでたいていの野菜が入るとはいえ、
あまり入れないのは、かぼちゃやさつまいも。
とけてスープがドロドロになるからだ。
ジャガイモもなるべくピンクの、あまり煮崩れない種類を使う
かぼちゃなどはそれはそれでおいしいスープになるが、
野菜スープに入れずに独立したものの方がいいようだ。
あとほうれんそうも入れない。溶けて汚くなるし、味も良くない。
これもほうれん草だけのスープなら、美味しいと思うけど。
ほうれんそうはもっぱらバター炒めにすると、
ふたりとも驚くほどの量を食べてくれる。


それからもうひとつ。
唯一のこだわりは（ふたつだけど）
ブロスと塩。
ブロス（だし）は最近は
Organic Free Range Chicken Broth
というのをもっぱら使っている。
普通の缶入りチキンブロスはちょっと臭いような気もする。
ベジタリアン用には野菜のBrothもある。
塩は、スープの時はフランスの「塩の花」とよばれる、
灰色の粗い塩を使っている。
塩に関してはどんなに贅沢しても所詮安価なので
なるべく美味しい塩を使うのだ。
これでただの野菜スープが、本当にまろやかに美味しくなる。


問題はこの量をどうするか、だ。

大鍋に一杯作ってしまうので、
2日や３日では食べきれない。
たいてい、１日目はパスタととも大量に。
2日目はガーリックブレッドととも大量に。
3日目は納豆ご飯とともに中量で。（笑）
そして、だんだんとよそう器も小さくなる。
その後はたいていの場合、いつもご飯を一緒に食べている、
ピアノ先生一家のところに残りを持っていき、
一気に皆で食べて終了、となるのだ。


それでも以前は、
「オーノー！野菜スープ！？アゲイン？」と
外人のような反応をしていた息子たち。（外人だけどさ）
それが、「あ、野菜スープか」と喜も怒も哀も楽もない
ニュートラルな発言に変わり、
今夜あたりは久しぶりだったせいか、
「あ、野菜スープだ。」とちょっとうれしそうなコメント。
大きなスープ皿に鬼のようによそってやったのだが、
二人ともきれいに食べた。
ふふん、こうなりゃこっちのもんだ。
母の粘り勝ち。


思えば、この野菜スープとの付き合いは長い。
長男がシュタイナーのプリスクールに行き始めてからだ。
毎週皆で作って食べる野菜スープの美味しかったこと。
いつも大きな壜にもらって帰って来たので、
自分で作ることはなかった。
キンダーに入って、お持ち帰りがなくなり、
ここ数年は家で作るようになった。

いつか子供たちが親になった時、
「子供にはもっと野菜を食べさせなければいけない」と
使命感に燃えて自分たちで作るようになったら
おもしろいのになあ、と思う。
それまではせっせと、嫌がられない程度に作ることとしよう。