シングル母のアメリカ暮らし

息子達の学校はまだまだ始まらない。
あと２週間近く、レイバーデイ明けまで夏休みだ。
毎年この季節には皆が苦労させられる。
何故なら、ほとんどの学校が始まってしまうので、
サマーキャンプなどももうないし、
働く親に取っては子供の預け先を確保する、
とても神経に障る季節なのだ。


私は去年、おととしとこの季節には
元夫に実家に連れて行ってもらうよう頼んだ。
彼は毎年夏に実家を訪れるので、せっかくならこの時期にしてもらえば、
１週間は何とかなる。残りの１週間は私が休みを取る、という具合だ。


でも今年は元夫の家族の都合で８月の半ばになってしまい、
当てにしていた私は頭を抱えてしまった。
元夫は８月の後半はとても忙しいといい、
それでも何日かは見てくれるようにお願いした。
後は友人同士で相談しあった。


今週は結局２－３人のシングルママで持ち回り、
子供達にバケーションウィークをあげることになった。
月曜日は湖でカヤック、
火曜日は公園、
水曜日はそれぞれの家で遊び、
木曜日は遊園地へ行き、そのままお泊まり。
そして今日は私がサーカスに連れて行ったのだ。


今日は午前中に友人宅へお泊まりさせてもらった息子達と
彼女の息子をピックアップし、
別の友人の子を迎えに言って、
天下のマクドナルドへ連れて行った。
プレイエリアがあるので、
そこで遊んでもらって私はちょっと書類仕事。
その後はみんなでサーカスへ。


サーカスの入場料そのものはクーポンを使って
１５ドルですんだし、席も悪くなかったけど、
一体なんであんなに何でも高いのだ。
駐車場が１０ドル、わたあめが１０ドル、
ポップコーンが４ドルで、お水が１本４ドル！！
それでも初めてのサーカスで
ちょっとくらい楽しい気分を味合わせてやってもいいかなと
皆にわたあめやポップコーンを買ってあげた。
みんなのうれしそうな顔を見ながら、
心と財布はしくしく泣いていた。


そういうわけで子供達はほとんど毎日友だちと遊び、
いろんなところに連れて行ってもらって
とにかく毎日嬉しくて仕方ない。
でもその笑顔の裏には
親達の苦しいやりくりと、
緻密な計画がある事を忘れてもらっちゃ困る。
いつかチクチクと言ってやりたいくらいだ。


来週は３泊４日の海キャンプに行く。
仕事も立て込んでいるのであまり気が進まないが、
たまにはゆっくり１日砂浜でぼーっとしてるのも
悪くないかもしれない。


ところで、この友人達、
私と同じく離婚組だけれど、
なかなか相手が一筋縄では行かない奴らなので
かなり苦労をさせられている。


Kくんの母はまったく養育費をもらっていないうえ、
元夫とその妻から嫌がらせを受けているし、
もう一人、Bくんの母は調停中で、
人格障害気味の夫から
とんでもない攻撃をされているのだ。


そのキ印お父さんのもとへ、Bくんを送って行く時、
もう一人の男の子、Kくんがぼそっとつぶやいた。
「ここが君のお父さんの家なの？
君のお母さんの家よりずっと大きいんだね。
Mくん（長男）のところもそうだよね。
うちだってそうだ。
ぼくのお母さんはアパート住まいだけど、
お父さんは４ベッドルームの家に住んでいるよ。
離婚するとみんなそうなのかな」


そんなことはない。
お父さんがアパートで、
お母さんが大きい家に暮らしている人もいる。
でも確かに私の知る限りでは
シングルママで経済的に苦労していない人はいない。
何人かは保険にも入れないし、
バケーションにも行けずにあくせく働いている。


アメリカで離婚すると、奥さんは生活を保障される、
などとまことしやかに言う人もいるが、
そして確かにそう言う生活をしている人も
いるには違いないけれど、
ほとんどの場合、そうではない。
養育費を払わない男なんて、日本ほどではないけど
それでもたくさんいるし、
子供のベネフィットのために安いお給料の会社で働き、
自宅でバイトをしている人たちもいる。


何より困るのは、こんな時、
仕事や子供の病気で助けを必要としている時に
父親だというのに手も差し伸べない人たちだ。
都合のいいときだけ父親面して
後は知らん顔。
他人が聞いていてもブルブル震えてしまうような親が
男女国籍問わず、たくさんいるということに、
本当に驚かされてしまう。


私は何も「シングルママ」の味方なのではない。
自分で作り上げた弱者の立場を利用して
どこからでもいいだけ搾り取ろうとする強欲な
シングルママもたくさんいるし、
素敵な子育てをしている立派なシングルパパも。
（ね、ぱーちゃん）
でも離婚をした段階で働いていなかったシングルママに関しては
経済的な自立を成し遂げるまでには時間がかかるし、
「私は元ダンナより数倍も稼いでいるのよ」という
頼もしい女性にもあまりお目にかからない。


弱者だとは決して思わないけれど、
社会的にみてハンディがある人が多いのは
やっぱり事実なんじゃないだろうか。


でもこうして小さなコミュニティができて、
それが少しずつ広がって、
子供同士も負い目なく親の話が出来、
親同士も悩みを打ち明けられたり、
助け合ったりできる、
そんな輪がもっと広がっていけばいいなと思う。


生まれて初めてのサーカスがすごく楽しくて
やっつけで用意したごはんを食べながら、
「あそこが一番すごかった」だの
「ママは何のショウが一番好きだった？」だの
コーフンさめやらぬ息子達の顔を見ていたら
もっともっとたくさんいろんなことを一緒にしよう、
いろんなところに連れて行ってあげよう、と
心からそう思った。


ま、ほどほどに金のかからない範囲で、ですけど。


今夜の献立：しめじと牛肉のハヤシライス、プチトマト、ブロッコリー