シングル母のアメリカ暮らし

私ははっきりいって怒るお母さんだ。


自分でも「まずい。これは怒り過ぎだ」と
子供を叱っている最中に思う事もしょっちゅうあるし、
子供を泣かすまで叱ってしまう事もある。
いずれうちの子供達に問題が出て来たら、
私のせいだろうと思う。
夜、子供の寝顔を見ながら懺悔する事もある。
そのくらい私は怒るお母さんだ。


怒るお母さんである私は、
優しいお母さんになりたいと思うけれど、
（時々、成功するけど続かない）
そしてやさしいお母さんをいいなあ、と思うけど、
「叱らないお母さん」に対してはものすごくイライラする。


サーカスで、買ってもらった剣を
振り回している子供が前の座席にいて、
私が連れて行った友人の子に何度かあたった。
その子は前の座席の子に注意出来なくて、
剣を押し戻したりしていたがやめないので
見るに見かねて私が注意した。
母親はそれを知ってか知らずか、何も言わない。
「ほら、ちゃんと前を向いて見なさい」などというだけだ。


以前中国のアクロバットを見に行った時は
後ろに騒いでいる日本人の子供がいて、
お母さんは子供に注意するどころか、
「見て、見て。あんなことできちゃうよー」
などと一緒に楽しんでいる。
楽しむのは勝手だけど、あまりにもうるさいので、
私の周囲に座っていた人たちも
何度も後ろを振り向いていたほどだ。


先日行ったレストランでは中国人の子供達が
私たちの後ろで大騒ぎしてて、椅子にぶつかって来たので
「ここは公園じゃないのよ」とやんわりと注意した。
子供達は別に怒られたわけでもないのにピタっとやめた。
きっと赤の他人に注意されたからだ。
お喋りしていたお母さんたちは、
私が彼等を叱ったことにびっくりしたようだったが、
特別気を悪くしたふうでもなく「ソーリー」と言った。
あれほど騒いでたら迷惑だっつーの。
一人も止める親がいなかったのが不思議だ。


これってどこの国でも厳しい親もいれば、
何も言わない親もいる、という事のいい見本だ。


やさしいお母さんと叱らないお母さんは違う。
やさしくても人に迷惑がかかる行為はビシっと叱る人はたくさんいる。
「叱らない子育て」を実践しているのは大いに結構だけど、
まわりに迷惑をかけてまでする事だろうか。
「OOちゃあん、やめようねえええ」などと
猫なで声で子供に言って、
でも決してその行為を本気ではやめさせない。
あげくの果てには「この子疲れてるみたい」とか
「いつもお利口さんなのにねえ」などと言い訳をする。


私はちょうどその正反対なので、
かなり口うるさい方だから、
「なにもそこまでしなくても」と思われる方かもしれない。
そんな私がド肝を抜かれるようなお母さんも時々いるのだ。


アメリカではFワード、日本では「ざけんじゃねえよ」
というタイプの言葉を連発するお母さんだ。


サーカスの前にマクドナルドへ行ったのだが、
ごはんを食べて、子供達を遊ばせていたら、
店のカウンターの方からものすごい怒鳴り声が聞こえて来た。
「You FXXkin XXX! Get FXXk out of here! 」
あまりのワイルドさに店中の人が凍り付いていた。


叱られてた子供は８－１０歳くらいの男の子、
逃げ回りながら、一生懸命言い訳をしていたが、
別に堪えているふうでもない。
きっとこんなふうに叱られるのは日常茶飯事なのだろう。
私が驚いたのは、そのお母さんと子供が、
その後そのままマクドナルドで食事をしていた事だ。
私だったら恥ずかしくて絶対他所の店に行くだろう。


今日、ショッピングモールでも日本人のお母さんが
特有のキンキン声で子供を叱っていた。
「さっきからうるせえって言ってんだよ。
さっさとやれって言ってんだろ。
ざけんなよ、ったく。」
きのうのワイルドママほどの迫力はないし、
大声とも言えるわけではないけれど、
それなりにキンキンしているので、
隣の通路にいたアメリカ人が「リラーックス」と
叫んでいたが、自分の事だと分かったかどうか。


私だって、口悪く叱った事がないわけじゃないけど、
（あ、でもFワード級はさすがにないです、念のため）
公共の場でそれが出来るというのは、
すばらしい勇気の持ち主だなあと感心する。


そしてこれをする親というのは、
全世界どこでも共通して言える事だけど、
とっても頭が悪そうに見えるので、
私もじゅうぶんに気をつけようと思う。


さて明日の午後から３泊４日のキャンプで海に行く。
朝夕はちょっと寒そうだけど、準備はバッチリ整えた。
子供達は毎年そこへキャンプに行くのをとても楽しみにしているのだ。


それでは行ってきます。

キャンプの誓い・・・「叱るかもしれないけど、怒らない」