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テーマ:離婚のカタチ。(44)
カテゴリ:キノウのために
オットとのライブ、行って来ました。
追い詰められるような、急かされるような、そんな毎日が終わりました。 久しぶりに会った彼は、私が知っていた頃とほとんど変わっていなくて、黒のライダースジャケットにジーンズ、真っ赤なスニーカー、暖色系のメッセンジャーバッグで立っていた。 出来るだけ自然体で…と、お互いが思っているからか、普通に1週間前にも会っていたかのような会話が続く。 仕事の話や趣味の話、途切れることなく続く会話。 ライブ会場前で、気持ち悪くなってしゃがむ私。 「吐きそうなんか?」と、中身を見透かしながら尋ねる彼。 「違う、ライブ前やし緊張してるねん」と誤魔化す私。 ライブ後、新幹線で帰ると言う彼を送ってJRの駅まで行った。 改札をくぐった彼が私を振り向く、そして手を振る。 そして、悲しい情景を見る。 一旦、手洗いに消えた彼。 私は立っている場所を変えて、なおも彼を待っていた。 手洗いから出てきた彼は、さっき私が立っていた場所に目をやり、私の姿を探す。 そこに私がいないことを確認し、足早に新幹線のホームに向かって去っていった。 途切れない会話、言葉が無くても見透かされる感情、こんなに近くにいるのにとても遠い心。 虚しい気持ちと、切ない気持ちが入り混じる。 帰り道、涙がこぼれた。 もう二度と会わない、そんな気がした。 私の姿を探す彼の目にその痛々しさを見た、そんな感覚。 彼を「可哀想に」と思う自分と、彼が私を見つけて改札を出てこられるようになって欲しい自分。 彼は絶対に自分の言葉で語らない。 たとえ彼が「こうなって欲しい」と思うことがあっても、誰かがそうしてくれるならそれでいいし、そうならなくても自分が言葉にしてないのだからそれでいい、自分に逃げ道を作っているんだろう。 彼は、私と完全に切れてしまうのは怖い、けれど私の将来に責任を持ちたくない、私が新しい人生を手にすることを阻んではいない、ただ私が自分の意思で同じ場所で足踏みしているだけ。 それは私本人の意思であって、決して彼に責任は無い。 それが彼のスタンス。 分かっていた、いや、今も分かっている。 彼はいつも塀のなかで、外を通っている人から忘れられたくないし、声を掛けて欲しいと願いながらも、自分から外を行く人を呼び止めたり、塀から出てきて話しに来たりはしない。 いろんな出来事を繰り返し、改めて胸に刻む。 彼には、過去も、現在も、将来も、切り開く術が閉じられている。 それでいいんだと、自分に言い聞かせて。 いつか、彼が自力でその塀を出てこられるように手伝うつもりだったけれど、私には出来なかった。 もう私の出番は無い。 何度も同じ過ちを繰り返す。 彼を助けられるのは私なんじゃないのか、と。 そして、自分の無力さに落胆する。 そう、もう私の出番は無い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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