鯉のゆうちゃん 練習試合“開幕投手”
開幕投手は「サイトウユウキ」-。と言っても早大の佑ちゃんではない。広島の斉藤悠葵。08年は将来の左腕エース候補で船出する。「緊張すると思います。でも、意識せずに1イニング1イニングを大切に投げていきたいです」。3年目で初の開幕1軍へ絶好のアピール機会。斉藤は照れながらも快投を誓った。昨年10月24日のフェニックスリーグ・湘南戦以来の実戦登板となる。「昨季は投げたくても内角に投げられなかった」。内角攻めをテーマにマウンドに上がる。カギを握るのは昨秋、山内2軍投手コーチに教わった高速スライダーだ。「ソフトバンクの杉内さんのように高速で曲がりの小さいものです」。打者に対して投げるのは初めてだが、自慢の直球を生かすために左打者、右打者に関係なく多投していく考えだ。ルーキーイヤーの06年は10月1日の巨人戦で初登板初先発初勝利。試合後に赤いハンカチで汗をふき、名前と合わせて「赤いハンカチ王子」としてブレークした。しかし飛躍を期待された昨年はキャンプでフォームを崩して、1年の大半を2軍で過ごした。1軍登板はわずか2試合で1敗、防御率5・40と散々。悔しさだけが残った。苦い経験をムダにしないために、2年連続となる1軍沖縄キャンプでは精力的に動いている。練習が行われた6日間のうち4日間ブルペン入り。6日はフリー打撃投手を務めて、キレのある直球で上村を詰まらせる場面が目立った。小林投手コーチはそんな20歳左腕の成長を感じ取っている。「状態が悪い中でも修正できているし、良くなっている。現段階でのいいものを出してほしい」。自信を持ってマウンドに送り出す。負けず嫌いの斉藤にとって、キャンプでは野球以外で悔しいことがあった。新井、黒田が抜けた今キャンプ。1歳年下の前田健が4番・栗原、エース・大竹と同等の注目を浴びた。休日のこの日も一緒に出掛けるなど仲がいいとはいえ、後輩。「負けられない?そうですよ。自分のできることをしっかりやりたい」と真顔で語気を強めた。今年こそ初の開幕1軍を狙う。もう後戻りはしない。「自信を持って投げます」。2・12、進化したコイの悠ちゃんがベールを脱ぐ。キャンプ休日のこの日、タクシーに乗り買い物に出かけた斉藤=沖縄デイリースポーツより