カテゴリ:小説もどき
一言で言うと、彼女は、人の心が読めた。 1. 読心プロローグ 「人の心を読む」というのは、誰もが一度は欲したことのある能力で、 もし自分に他人の思ってることが分かったら… なんて妄想をしたことがある人もいるであろう。 とは言ってもそんな能力は漫画やアニメ、小説、映画、ドラマにしか登場しないし、 テレビの超能力特集で人の心が読める北欧の老婆がもてはやされていることはあっても、 どこか胡散臭い。 しかし、彼女は胡散臭くなかった。 僕が最初に彼女の持っている特殊な力に気づいたのはつい一ヶ月前で、 僕と彼女は小学校の頃から同じ学校の同級生だったので、 11年間もの間、僕はその力に気づかずにいたわけだ。 とはいっても彼女自身でさえ、 自分が他の人にはない能力があるということに12年間気づかずにいたそうなので、 別に僕が鈍いというわけではない。むしろ鋭いと言うべきである。 いや本当のことを言うと、 僕が彼女の能力に気づいたのは、 僕の鋭さ賢さ観察力注意力などとはまったく関係がないのだけれども。 先程、僕が「彼女の能力について胡散臭くない」と きっぱりはっきり断言した理由を皆様に分かってもらうには、 あの事件のことをお伝えしなければならない。 と、ここから手に汗握る波乱万丈回想シーンに突入したいところだが、 今の僕の頭の回転速度であの衝撃的な事件を語ろうとすれば、 その衝撃が九割方緩衝され、 ゆるふわ系ドタバタ日常バラエティーになることは避けられないので、 少し休憩を入れさせて欲しい。 今回はほんの導入部だけになってしまったが、何事にも休息は必要だ。 彼女の超能力にも、きっとインターバルとかが必要なのではないだろうか。 普通に出来事を語るだけでもこんなに疲れるのだから、 人の心を読むのはもっと疲れるに相違ない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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