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頭痛が痛い

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2010.08.04
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カテゴリ:小説もどき

父の部屋の掃除をしていると、若い頃の両親が二人で写っている写真を見つけた。

どこかへ旅行へ行ったときのものだろうか。

幸せそうに笑う母の隣の父の顔は、

なるほど、僕にそっくりである。

僕「が」そっくりである、と言った方が適切かもしれないが、まあ大した違いはない。













4. 心謝エピローグ














さて、ここで皆様に、僕たちのその後をお伝えしようと思う。

結城が僕の家を訪問してのち、母は、らんま1/2もビックリの豹変ぶりを見せた。

うるさいほどによく喋り、うっとうしいほどに僕に干渉するようになった。

18歳の男子高校生が母親と仲良く買い物をしているというのは、

傍から見れば、やはり異様な光景だろうか。

しかし僕は、やや過干渉気味な母に冷たい態度をとることもなく、

むしろ内面では、少し嬉しく思っていた。

僕のことをマザコンと呼びたいのなら、いくらでも呼ぶが良い。甘んじて受け入れよう。

今まで親の愛情をまともに受けずに育ってきた人間なのだから、

一時的にマザコンになることぐらい、大目に見てもらいたい。












母は、離婚後自分が塞ぎこんでいた事や、結城が家に来たときの事について、

触れることはしなかった。

意図的に言及しないようにしているのかもしれないし、覚えていないのかもしれない。

ただ、母は結城のことを知っていたし、なぜか気に入っていた。

「今夜は外に食べに行かない?あ、そうだ!結城ちゃんも一緒に!」

こんな感じで、母は結城を良く食事に誘った。なぜか三人で舞台に行ったりもした。

もしかしたら、それは母なりの、結城に対するお礼なのかもしれない。

まあ僕には誰かのように人の心が読める訳ではないので、真偽の程は分からない。

そしてたまに母は、

「結城ちゃん、ウチに嫁いできたら?」

と冗談とも本気ともつかないことを急に言い出して、僕たちをひどく動揺させた。

「な、なに変なこと言ってんだよ、別に俺たちはそんなんじゃ…」

と僕が取り乱しつつも反論しながらちらりと横を見ると、

なぜか結城が僕の三倍くらい顔を真っ赤にしていて、見てるこっちが照れた。












と、そんな中学生のぎこちない初恋のような話はこの辺にしておいて、

とりあえず、僕の家庭は結城の活躍により、活気を取り戻した。

そして忘れてはならないのは、僕は結城に命を救われたということである。

本来ならば僕は結城に対して、

毎日三十本の花束と共に、感謝万謝の言葉を伝えなければならない。

しかし、僕はまだ彼女に対してお礼の言葉を口に出していない。

「この恩知らずの人でなし野郎!!」

と僕を罵倒するのは、少し待っていただきたい。

口に出してはいないが、僕は結城に会う度に、

「ありがとう。結城、本当にありがとう。」

と、心の中で何回も言っている。

心の中で思うだけだ。

それだけで、結城には届く。










なぜなら、彼女には、人の心が読めるから。









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最終更新日  2010.08.04 23:02:55
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