「幕が開いたら芝居が終わり」
麻生太郎外相は8月11日、富山市の富山全日空ホテルで開かれた自身の後援会会合で講演した。富山青年会議所のOBが中心になって開いたもので、約500人が参加した。 この中で麻生氏は消費税問題について「今のうちから上げると言うと、景気がしぼむ。景気に対して、きちんとした配慮がないと日本経済は伸びない」と述べ、自民党総裁選に向けて、税率引き上げ構想を示している谷垣禎一財務相を暗に批判した。 麻生氏は、消費税を3%から5%に引き上げた際、景気が失速して税収は減ったと指摘し、「財政再建原理主義の人が永田町、霞が関周辺にいっぱいいる」と語った。 総裁選で安倍晋三官房長官が優位に立っているというマスコミ各社の報道について、「だれも政策発表していないのに、安倍で決まりだと言われる。幕が開いたら芝居が終わっているという感じだ。昔の派閥が横行していた時代に戻ろうとしている」と不満を表明。「国の経営者を選ぶわけだから、うわさだけで流されると具合が悪い」と語り、政策を比較して選出してほしいと訴えた。 また麻生氏は「年間4,000円(の党費)を払っている党員には、今から政策を比べてもらわないといけない。国の経営者を選ぶのだから、うわさだけで流されると具合が悪い」と語り、党員票への期待を示した。 さらに麻生氏は、靖国神社参拝について「行く行かないだけで騒ぎになっているのは異常。静かにできないのは政府の責任だ」と語り、宗教法人としての神社のあり方を論議すべきと説いた。 今回の総裁選の最大の汚点は、安倍氏が極めて優位な立場にあることが原因のためか、どうも政策論議が談論風発に行われていないという点にあるのではないか。消化試合のようになってしまっているため、盛り上がりに乏しい。どうせなら、直前まで誰が当選するか分からないような情勢の方が面白い。さらに、マスコミの予想を覆すような結果となれば、なおさら面白い。 すでに「安倍首相」を念頭に置いた動きが始まっているようだが、それは早計ではないか。麻生氏が訴えるように、党員や党所属の国会議員は候補者の政策をじっくり見極めた上で、誰に投票するか判断してもらいたいものだ。