心も体も健康家族

プロは逆境でこそ笑う（６）　本調子２　植松　努　編

2009年5月8日　総合法令出版　発行

成功への糸口が見つかる思考法

９敗したときに、人生を変える１勝が見えてくる。

困難を乗り越えるための、「脳の鍛え方」「心の持ち方」「行動力の育て方」「夢の抱き方」を学ぶ。

名著者が薦める「成功を呼び込む良書５冊」も紹介。

ほとんどすべての人は、もうこれ以上アイディアを考えるのは不可能だという所まで行きつき、そこでやる気をなくしてしまう。いよいよこれからだというのに。　トーマス・エジソン

町工場でロケットを造る

「逆境」というビジネスチャンスの種

新しいビジネスを見つけるには、つらい思いや嫌な思いをしなければなりません。そういう意味では、この不景気という名の逆境は、最高のビジネスの種の培養地です。

不景気とは、価値観の変化です。市場のニーズの大幅な変化です。そこでは、変化を追い越したものだけが生き残ります。今僕らがすべきは、維持や延命ではありません。「変化」です。その「変化」のためのヒントが、ここに書かれています。

不景気はチャンス

お金があったら、知恵と経験につぎ込むべきです。学ぶという行為は、自分の価値を高める行為です。お金を増やす行為です。そして、学ぶためには、時間が必要です。その時間を与えてくれるのが、不景気です。

特訓で最も重要なのは、「やったことがないことをやる」です。そうすれば、今までになかった知恵と経験を得られるのです。知恵と経験が得られたら、あとは、それを何に使うのかを考えれば良いだけです。今僕たちは、「究極のやったことがないこと」に挑戦しています。それが、「宇宙開発」なのです。僕らにとって、宇宙開発は、知恵と経験を得るための特訓なんです。

変化への勇気が必要なとき

今回の不景気の対処マニュアルは存在しないということです。前例の範囲内では、この不景気を生き残ることはできないのだと思います。しかし、裏を返せば、この不景気という逆境は、自分なりの自由な発想で成功へのレールを作れる、最大のチャンスとも言えるのです。この不景気は、おそらく、大量生産と大量消費の社会の終焉を意味しているのだと思います。

僕らの社会は、大量生産型大企業から給料をもらい、その給料の大半を、大量生産型企業が販売する製品を買い換え続けるために、借金をしてはらいます。借金は、払っていないお金を遣ったことになります。これは、みせかけのＧＤＰを増やします。なにせ、ＧＤＰの前借りができることになるんですから。この十年ばかり、日本最長の好景気は、個人レベルの借金の増大によって増えた、見せかけのＧＤＰに支えられたものなのかもしれません。

豊かさを買うために人生を浪費する社会

物を手に入れられるけど、借金が増えていきます。お金とは、自分の人生の時間そのものです。自分の人生を、差し押さえながら、僕らは豊かになっています。僕らは、洗濯機や自動車を買うために、自分の人生の時間を費やしていませんか？人生の時間を前借りしていませんか？

自分の人生の時間を、自分の能力を高めるために使うのではなく、誰かが提供してくれるサービスを買うためだけに費やしてしまうと、自分の能力はどんどん低下し、購買能力を失ってしまうです。購買能力が失われた社会では、さすがに大量生産企業と言えども、物を売り続けることができなくなってしまいます。

成績や、成果や、点数を気にせずに、まずは、好きになってください。だいたい、世界で初めてやることは、評価のしようがないのですから。教育とは、学校にいる間にだけ与えられるしつけではありませんね。人生のすべての時間、人は学び続けるのです。

人の能力が生み出すもの

もし今、あなたが自信を失いかけているならば、それはラッキーです。それは、あなたの優しさを示しているからです。そして、その優しさこそが、これからの社会で、最も重要なものなのです。

逆境を乗り越える「自信」の力

今、自信を失いかけているのは、あなたが優しいからです。そして、優しいからこそ、つらい思いや悲しい思いをしているはずです。そのつらさや悲しさを改善することは、すべて立派なビジネスの種です。僕は、「どーせ無理」という言葉にひどい目にあわされてきたから、「どーせ無理」をこの世からなくしたいと思うことができました。そう思えるようになった途端に、宇宙開発に巡り会えたんです。

「夢」を見つめ直す

人は、人から必要とされたいのです。人から必要とされることを、ちやほやされる、と間違えてしまうと、お金が必要になります。でも、人から必要とされるために必要なのは、個性です。能力です。そして、個性と能力は、やったことがないことをやったときに身につくんです。

フルスロットルの仕事術で人生が変わる

給料分の仕事しかしていないと、本当に給料分の価値しかない人間になります。もしも、誰かがあなたに十分なお金をくれて、「きみの仕事は、そこでじっと寝ていることだよ」と言ったとします。その通りにしたら大変です。二ヵ月くらいで、歩くこともできなくなるでしょう。

給料をもらっていようがいまいが、今の１分１秒は、取り返しのつかない自分の人生なんです。誰かがくれる給料ごときで、自分の人生の時間を浪費してはいけないし、自分の人生を手加減してはいけません。給料にかかわらず、その職場の環境を活かして、フルスロットルの仕事をするべきです。時給一万円の仕事をすべきです。そうすれば、時給一万円の人間になれます。

「苦労」や「つらさ」、を改善することは、すべて新しい仕事の種だからです。逆境は自分で作り出してでも体験したほうが良いのです。自分でやったら分かるんです。経験地も増えるし、新しい仕事の種も得られるんです。

夢と仕事の関係

人の心や感情を棄てることが大人になることではないのです。冷酷になることが、ビジネスマンとしての成功ではなかったのです。冷静で良かったです。冷酷になる必要はありませんでした。何気なく手伝いに行ったボランティア活動が、僕の人生を変えました。僕に大切なことを思い出させてくれたんです。

あきらめ方を知らない生き方

生まれたときからあきらめ方を知っている人はいないんです。誰もが皆、優しくて、わくわくしていて、やったことがないことをやりたがるんです。あきらめないんです。

よくよく考えたら、僕はあきらめ方を知らなかったんです。なぜなら、小さいころから、偉人の伝記ばかりを読んでいたからです。伝記には、あきらめ方が書いていなかったんです。

本当の自信とは、本当の謙虚さをもたらします。自慢や、評論ではありません。「自分なんて・・・」という自己否定でもありません。本当の自信は、優しさをもたらすのです。本当の自信があれば、他者の自信を奪う必要がないのです。今の社会の不景気の原因は、自信喪失です。だから、本当の自信を取り戻せる航空宇宙開発は、この不景気を打破する可能性を持っていると、僕は信じています。

「どーせ無理」が人生から消えるとき

この世の中には、「もう駄目」なことはありません。どんなことも、必ずリカバリーできます。唯一リカバリーできないのは、死んでしまうことです。死んではいけません。生きてリカバリーするのです。

不安と自信のなさを隠すなめに、「どーせ無理だ」と言ってしまうのです。しかし、このロケットは「どーせ無理」を裏切って飛んで行くのです。その瞬間、子供たちの顔が変わります、。そして、子供たちは、優しくなります。

すべての人が、自分の心の中に閉じ込められている、幼児の記憶を呼び覚まし、「どーせ無理」という言葉を使うのをやめ、「だったらこうしてみたら」と提案し続ければ、必ず社会は変わります。

いま、世界は逆境です。つらいことや悲しいことがいっぱいです。でもそのつらさや悲しさを知り、怒ることができれば、解決すべき問題を見いだせるんです。それは、新しい仕事の種なんです。だから、種だらけです。

悲しみを知って、怒りの涙を流しましょう。そして、ぐいと顔を上げて、涙を拭って、にやりと不適に笑って、「よし、やってやらあ！」と踏み出しましょう。やがて、皆が優しく笑顔になれる社会がやってきます。悲しみと喜びは正比例です。きっと、次にやってくる喜びはでっかいよ。

「まんがサイエンス」あさりよしとお　著　学習研究所　発行

「生かされて」イマキュレー・アーウイン　著　ＰＨＰ研究所　発行

「ババラギ」エーリッヒ・ショイルマン　著　ソフトバンク　発行

「昭和のロケット屋さん」林紀幸　著　エクスナレッジ　発行

「自分の体で実験したい」レスリー・メルボーリング　著　紀伊国屋書店　発行

つながっているすべての人にありがとうございます！