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カテゴリ:移動する話
トートツなんだが先週末は庄内、山形県鶴岡市付近にいた。
運良く指定席なんぞがとれすぎて、まぁ細かい微調整はあったけれども結果オーライだもんで(いつもそうじゃないか・・)。 新潟周りで庄内へ行くのは実は初めて。 いつもは太平洋側の内陸から各駅停車で在来線3本乗り継いで行く。あるいは、山形から新幹線で新庄経由とか。 新潟からの羽越線の風景は、ちょっと異文化。 海の岩の黒さ、塩害の影響もみえる家々。 でも、こういう錆色が好きだったりする。 知らない景色を眠い頭で眺めながら、お昼過ぎに現地着。 しかし。 誰もいないのよね。駅前に。 駅前の物産館のスピーカーから流れる長い節回しの民謡だけがわずかに「ひと気」らしいものに思える。 まぁ、こんな天気の日に無理して出かける人はいないのね。 金曜の昼下がり。 投宿予定の場所は早すぎてチェックインできず。 荷物だけ預かってもらい、町へ。 鶴岡に来るのは何度目だろう。 よく覚えていない。 駅前からの町のつくりくらいは知っている。 ここに着たらまず、山王通り商店街の「安部久書店」とお向かいにある「月の山書房」に行くのがきまり。どちらも古書店。(安部久は新刊もあるのだが、店のにおいは古書100%) 駅前のミスタードーナツを右目で流し、少々カフェイン切れを感じつつもそのまま行く。(ミスドのコーヒーくらいの薄さではもぉ駄目なのよ。)商店街、見るの一年ぶりくらいだけど、どこもまぁあいかわらずなのがうれしい。 「みちのくプロレス」のはげかけたポスターや、通りのところどころに立つ消火栓の年代・様式がちょっとずつ違うのを眺めるとか、ひまなのでいろんな場所に引っかかる。低いアーケードの商店街、和菓子屋におもちゃやに薬局に時計やに酒屋。静かだけれどどれも開店中。 山王通りの神社にまんづあいさつ。 ふだん住んでない町に着たらこういうとこに行って周波数の修正をするほうが、なんだか落ち着くのだ。 神社の入って左にある、足についたばねがびよんびよんと揺れる(らしい)あひるの遊具はいつものままだ。こういうものが急になくなってたりすると、ちょっとさびしい。 しかし、だれともすれ違わないねー。 ヘルシンキの夜21時並みだ。 そのまま「安部久」へ。 おおお、湿気のせいで中に入るなり古書のかほりがする。 しかもそこは新刊書の売り場なのに。 あべきゅー書店には、新刊部と古書部がある。しかし近年その境目がなくなりつつある。書籍のあるべき姿かもしれない。え、こんな本あったっけ?というようなものが堂々面だしで並んでたりするから、軽い眩暈を感じつつも既に手にとってしまう。 「ラテンアメリカの楽器と音楽」/きんきメディアプラン刊 こんなのあったのかー。判型も面白いが中身はもっと面白い。各国の楽器の図版、演奏してるとこの写真、それから文章。どれも楽しい。奥付を見れば1995年じゃないのさ。約10年かぃ。しかも、同じ本が3冊もある。ひょっとして、「とりあえず3冊委託で」並んでるのを買うのはわたしが始めて・・ってこともないだろうけど・・・。 え、もちろんお買いあげ。 旅先で大きな本を買ってしまう、止そうと思うがやめられない。サイズであきらめられるようなものじゃないから。 それから、新刊部に侵食中の古書部へ。 ・・・すごいすよ。ここは。 特に未整理の山積み。 中原淳一のかわいらしいスタイル画(これも死語じゃの)のついた、女児用ワンピースの型紙。どう考えても昭和30年代前半のもの。その下には「ヤア!皆ノ人気者!タンク・タンクロー」・・・の掛け声のでかい文字が目立つ戦前の少年雑誌のお正月特大付録のお知らせページ。(えっと、田河水泡さんでしたっけ・・・)その横には昭和三年に購入、と墨の字で書かれたアルバム。中には絵葉書のスクラップ。 今いったどれもがさほど退色もせず鮮やかなままそこにあるのだから、ちょっと驚く。「月の山書房」のおやぢがよく「庄内は戦争で焼けなかったし、空気も乾いてるから状態のいいもんが出るんでのぅ」と語っているのだけど、ほんとにそのとおり。紙が劣化してもいないから、わざわざビニールに入れてあったりせず新刊書と同等に並んでる。少々触ったくらいではどってことない丈夫さを保っている。 (これこそ庄内地方の古書店の醍醐味っす。) 時間感覚がゆがみそうになり、文庫の棚に目をやれば「えい出版社」の文庫が10冊ばかり場所を占めている。ここにまで入ってるのかぁ。おう、藤田一咲さんの「ハッセルブラッドの時間」もあるじゃないの。よしよし。この本がタンク・タンクローの付録と共存していること自体がなんだかうれしくなる。ここまで無理しても来てよかったなあ、と思う瞬間。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 29, 2004 08:52:24 PM
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