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カテゴリ:移動する話
マヤでもマチュピチュでもアステカでもなんでもいいんだが。3年にわたって進行中の西神田再開発地域最後の砦?
三丁目一番地の一区画、解体中。 クリーニング屋さんと徽章の工場(コウジョウではなくコウバって読んでね。そういうサイズだから。いや、活版やさんだったのか?)と「配ぜん人紹介所」の木造建築が壊されている。コウバのおばあちゃんはお向かいの西神田三丁目5番地あたりが壊されてるとき、心配そうによく見に来てた。わたしも立ち入り禁止寸前までここを撮影していたのでよく見かけたのだ。紺色の柄入り割烹着でちょっと背中を丸めながら「○月×日よりここは廃道になり、通行できなくなります」などと事務的に黒の細ゴシック体で書かれた看板に見入っていた。 先週末ここを通ったとき、すでに足場が組まれていた。 あっという間に覆いがかけられ、解体の音がする。 さっき夕方もう一回通ったら、これまた取り壊されるはずの二階建て駐車場にそこの家から出てきたらしい、うすぼた青色の古い小さなローラーボード(昔は何と呼んだのだろう)がそっと置いてあった。駐車場の最後の仕事。ここにもロープが張られ、誰も入れない。いつもここでだらけている猫さえいない。隠れられる家が壊されてるから。 ここの猫は裏手にある児童書の版元さんからえさをもらっているのだけど、食い残したえさを時々カラスにとられ、ついでにどこからか来たセグロセキレイにまでついばまれている始末。時折、(いっちょやってみっか)と気まぐれを起こしてセグロセキレイを狙ってみたりする。当然セキレイのほうがすばやくて(・・・ちっ。またか)って顔してまた寝てる。そういう場所だったのだ。 巨大な石の神殿を築きながらそれを「放置」して消滅していったマヤだのアステカの人々の「事情」って何だったのだろうか。現代の「事情」はちっと異なる。疫病でも戦でもない。金だけだ。マヤ・アステカでは人間は消滅し、建造物は残った。2004年の今では人間が建築を消滅させていく。「コウバ」の家は石造りだ。木造よりも手こずるに違いない。 いつかここにどかっと溶岩なんかが押し寄せて消滅し、誰からそれを発見したらいいのだ。そのときには西神田文明の存在は誰にもわからぬものになっているかもしれないけれど。 メキシコシティのめちゃくちゃな建造物の混在を見ていると、せこいとこだなここは、了見せまいよな。とブツブツいいたくもなるってもんよ。chega de saudade!!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jul 12, 2004 09:36:17 PM
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