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カテゴリ:移動する話
旅は行く人のおたく性の方向を惜し気なく暴露する。
今回は「てっちゃん」なわたしなのだ。 新幹線はともかく。 今まで乗ってないのを敢えて選んだ。 その中の最右翼が「秋田内陸縦貫鉄道」。 始発駅の町に泊まり朝に備えるというテッていぶり。 いや、のんびり昼過ぎなんかに乗っても 沿線内で何もできないから仕方なく。 鷹巣発のそれはぬぁんと本日「お座敷列車二両つき」! 阿仁合までは林の中を斬りこみつつ走るように見えるディーゼル車両。 民家が、みえない~、いやみえないんじゃない「ない」のだわ。 たまに見える集落の土蔵の土色が独特。 わたしが知ってる土蔵の色よりも黄味が強い。 そうかと思えば漆喰で塗った蔵が並ぶ集落もあり、でひと駅ふた駅過ぎた だけでも変化がある。 漆喰の壁には遠目に見たら鶴や龍の絵が描いてある。 たてものの表に絵を書く習慣て、日本じゃあまり見ないような。 チベット、ブータン、ネパールあたりの感じなら記憶にあるけれど。 駅構内に温泉つきの駅もある。 途中「阿仁合」で下車。 短いホームで喜んで撮影なんかしてたら改札のドアを締め出された。 (今回は限りなくてっちゃんだから。え、中途半端だって?まぁ、ねぇ。) 駅構内には観光案内所・テーブルもあるそば(中華も含む)屋さん・売店が 入っている。待合のベンチはみな改札のほうを向いていて、ひとつずつ ざぶとんがくくりつけられている。 改札方向の壁にはTV。 駅前だからどうかなー、と京ぽんを開いてみた。 おう、白昼堂々「圏外」表示。 無理に起動させたら「接続に失敗しました」という画面。 いまどきつながらない場所というのも、いっそなんだかうれしい。 TVの画面は「笑っていいとも」。観客がいやに笑いすぎている。 何かひどくこの場で受信するには場違いなもののように感じる。 しかし、ぶらぶらするには荷物がなぁ。 売店のおばちゃんに 「あのぅロッカーないすかねぇ」ときくと 無いけどここ(キオスク店内) で預かってもいいよ。 と、あっさりと意外な返答。 恐縮しながらお願いしたら、かえって恐縮されてしまう。 「貴重品は抜いといてね、たまに店空けるときもあるから」 わたしの馬鹿に思い革バッグが、おばちゃんの足元をいっぱいにしてしまう。 スポーツ新聞のスタンドが売店の「門」になっていた。 後で時間待ちしてたら、恐縮の理由がわかった。 ちょいと町までおでかけ、という感じの おばあちゃんがまるで当然、ヨロピクという風情で じぶんの傘をキオスクに預けてるのだ。 帰りの電車時間もはっきりしてるから、まんづ心配ないわけで。 話の感じからして愛用のタバコの取り寄せもお願いしてる様子。 ここでは荷物くらい別に~、という 信頼関係がちゃんとあるらしい。 おかげさまで身軽になって散歩に出る。 この付近は昔から鉱山だったそうで、明治の初期にドイツから技術者を 呼んでだいぶテコ入れしたりもしたらしい。 その時に建てられたという、技師用の事務所が保存されている。 なんでも鹿鳴館よりも前の年代に建ったんだとか。 来館者はわたしひとり、係りのお姉さんが解説テープをまわしてくれていて (わたしが行ったら鳴らし始めた)高めの天井によく響く。 玄関からはいると、いきなりこの男(写真参照)がこっちを見ているポーズ。 やだなぁ、びっくりさせんなよ。 一人でくつろいじゃってさぁ・・・。 ドイツから来た技師にふさわしそうな調度品をそろえたのはいいけれど、 やっぱりそれらしい「ヒトガタ」がないと雰囲気でないってことなのね。 いつから彼は、ここに座って窓のほうを見ているのかはわからない。 隣の伝承館には件の技師が鉱山で働く人々の様子を観察して、適正配置を 申し立てるための文章などが保存されていた。 「何某というものは鉱山にかんする知識が何もないのにかようなポストで 働いている。仕事中に任務と関係のないことばかりしゃべっており仕事が おろそかになっている。何ゆえ彼のような人物がここで働いているのか、 周りのものに尋ねたところ関係者の情実により入ることを許されているの だという。あのようなものは運搬係などの肉体労働に廻すほうが適当では ないか。人員の配置については再考する必要がある」 だとか、なんとか報告しているのよ。 技術がどうというよりは労務担当みたいな記述。 100年以上も前に、この秋田の内陸でしばし生活したドイツ男はこの土地で 住んでる人々と仲良くなれたのかなぁ。 なんか、そういう記述はあんまりないのでわからない。 そうでなくても鉱山で働く人々のあいだには親分・子分の契り的な契約関係 があったそうだし。 「親分は子分を、何があっても守らなければならない。」 「子分は親分の石碑を残すこと」 なんだかいろんなきまりごとがある間柄だったようだ。 義理や情実でのつながりも含めて働く彼らと、仕事ぶりだけで判断する ドイツ男の間に相互理解はあったもんだったのかしらん。 マネキン野郎は何も語らず。 2005年に見ず知らずのわたしの荷物もこころよく引き受けてくれる人が いる土地なもんで。(もちろん、あとで買い物はしたのだけども) 一世紀前のドイツ男は、彼らのご先祖さまとどんなふうにつきあったのか、 想像してしまう。 (おい、コメの酒くらい飲めよなぁ。ドイツ人。) ほかの場所もぶらぶらしてきて、駅にもどる。 構内のそば屋さんに、お客さんが来てる。 よその人ではない、いつも来る人たち。 「ちょっと郵便局さいくから、おにぎりふたつにぎっといて。さけとうめぼし」 などと頼んで御使いに出る人も。 用を済ませておにぎり取りに来る。 そば屋のねぇさん「あらぁ、(おにぎりの中身のわかる)シルシつけといた ほうがいがったすか?」 「いいのぉー、あたしがぜんぶ食べるからぁ」 こんな会話が交わされるおひるどき。 壁には「馬肉の煮込み 小300円 大500円」のはりがみ。 うう、試してみたい・・けど昼ビーするほど時間もないし、ってんで 今回はやってきましぇんでした。 いつか、年内目標でやりにいきたいす。 おそばもつけてね。 かのドイツ人技師も馬肉食べたのかしらん。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 9, 2005 08:20:36 PM
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