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カテゴリ:本のはなしの巻
村上龍の最新作、半島を出よ。
一気に読んで、寝不足の日々です。 村上作品は、いつも具合悪くなるようなリアル感のなかで 5年から10年先のすぐそこにある現実の世界なんじゃないか、 と感じながら恐怖心と戦いつつ読んでいる気がします。 半島を出よ、は北朝鮮が福岡を制圧しようとする物語。 暴力で支配される人間、日本の危機管理能力、政治家、 いくつかのキーワードは、全くの空想ではなくて ほんと、そうなるだろうな・・・というリアル感がいっぱいでした。 表紙を開いて、まず登場人物の紹介があるけど、その多さにクラクラ。 日本人だけじゃなく、北朝鮮の人々の名前もズラリ。 これじゃ、きっと誰が誰だか分からない、と思っていたんだけど それぞれの人物がキッチリ生きていて、何度か確認はしたものの 迷うことなく、それぞれの登場人物が動き始めました。 上巻は、とにかく面白くて一気に読んで。 下巻に入ってすぐは、なんだかペースダウンしちゃって。 後半に入ると、あまりの展開に胸が痛くなってドキドキして 恐怖感と戦いながらナントカ読みすすめたという感じです。 北朝鮮の兵士たちの強さと冷酷さを認めながらも、「敵」と認識して 静かに戦いを始める少年たちの姿が力強く、そして痛々しかった。 小説の中で刻まれる時間が、だんだんと加速されてくるようで どうにもならない想いの中で読み進めたけれど、 最後の最後に、全ての戦いが終わり、それぞれの人の人生が ゆるやかな時間の中に流れているように感じられて それがせめてもの救いでした。 内容を紹介して、長い長い感想を書きたいところだけど、 ストーリーを紹介すると、恐怖感やスピード感、痛さ切なさ辛さが 半減して面白味が薄くなるので、 なんだかまとまりのない感想になっってるかも。 気合入れて読まないと、精神的に負ける。読み進められない。 けど、読み終わるとすごく面白い本でした。 それから巻末に書かれた参考文献の多さに参りました。 いつか小説書きたい、なんて思った事もあったけど、この本を読んで 村上龍の才能はもちろん、書き上げるまでの地道な道のりを想い そんな事を、漠然と軽々しく口にしちゃイカンな、と思いました。 この人は、全然違う次元にいるんじゃないだろうか、と。 いろんな事を思いながら、充実した読書の時間を過ごせました。 小説のすごさはもちろんだけど、装丁の鈴木成一氏は天才です。 装丁だけじゃなく、裏表紙をめくった所まで細心の注意をはらって すごい細やかなデザインをやってる。すごい仕事だ! そして驚いたことがもうひとつ。 この小説の表紙をみた、小学1年生のしゅんぼー。 「おかーちゃん、このカエル、ヤドクガエルだよ」とニヤリ。 どこに住んでるか、どれ位の大きさか、すごいウンチクを披露した。 しゅんぼーのマニアックさって一体・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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