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カテゴリ:本のはなしの巻
今年は、かなり荻原浩に恋しちゃってます。
昨日読み終えたのは「さよならバースデー」。 ボノボという、チンパンジーより知能が高いと言われる猿に、言語を教える研究所の話。 バースデーと名づけられたボノボ。高い知能を持ち、100語近い言語を覚えて、 ボードを使って人と会話したり、学習したりするんだけど、 その学習風景や、ちょっとした仕草の表現が、りょうさまにかぶり、かなりかわいい。 「イモ」というキーを押して、モグモグ食べる真似をしていたり 「みみ」というキーを押して、自分の耳をひっぱってみたり。 言葉を覚えたての小さな子どもの様で、ちょっとほのぼのする場面が多々あります。 でも、そこは萩原浩。研究者とかわいい猿の話のハッピーエンドではなく、 謎の死を遂げた一人の研究者の最期をそのバースデーだけが見ていたということから、 主人公がバースデーと会話しながら、その真実を知るというストーリー。 でも、その真実にはいろんな要素が隠されていて、泣けてきそうになります。 大学という特殊な組織の中で起こった事件、その謎が解明されるにつれて 悲しみと切なさが押し寄せてきて、ちょっと参ってしまった・・・。 純粋すぎる研究者と泥臭く汚い組織と人間模様。 バースデーと主人公の研究者が純粋であればあるほど、切ないお話でした。 荻原浩って、「らしさ」がつかめない作家だ・・・とますます惚れてしまってます。 「あ~、こういう感じ、あるある」っていうのがほとんどナイんだなー。 オロロ畑~、小鳩組、誘拐ラプソディーなんかで見せる、思わずアハハハと笑ってしまう滑稽さと 今回のさよならバースデーでの切なくて悲しくて胸にグッとせまる様な辛さと、 そして、「噂」など殺人事件がテーマの話で見せるクールさと吐きそうになる様な残虐すぎる手口。 どの本を手にしても、全く飽きない・・・。 次は、何を読もうかなー。でも、「明日の記憶」にまだ手が出せない私。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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