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カテゴリ:本のはなしの巻
11月に読んだ本は、先日感想を書いた「妻への詫び状」を入れて4冊。
雫井脩介にはまっていて、今月も一冊読みました。 1)「ビター・ブラッド」【雫井脩介】 新米刑事が借り出された捜査一課で、コンビを組んだベテラン刑事が幼い頃に別れた実の父親で・・・という話。話の内容はミステリーなので書かない方がいいけれど、息子の反発具合がなかなか面白かったです。息子は父親を許せずに反発し続けている、でも父親は刑事の先輩としても父親としても、息子がかわいい・・・という距離感が飽きさせない展開でした。 いくつかの事件が関わっていて、それぞれ全く別のものだったはずなのに、複雑に絡み合って最後に「あ~~~・・・こういうことになるのか!!」というところは、ミステリーの醍醐味かも。父親も息子も、その二人に関わる人々もみんなそれぞれにクセがあって個性的。確かに事件を追ってるのに、何だか面白みにあふれているのは、やっぱり登場人物がみんな魅力あふれるキャラクターだからなのかな、なんて思ってます。 捜査一課が追う事件で、いくつかの事件のうちの一つは身内が被害者なので、事件はなかなか凄惨で複雑。犯人像はなかなか見えない。いや、ヒントはいっぱいあるので疑わしい人がいっぱい、という感じ。客観的に読んでたはずがだんだん思い入れが強くなっていくのも、雫井さんの策略にすっかりハマってるんだと思いました。 これもなかなか面白い一冊でした。ミステリーなのであらすじを書けないところが辛いけど、次はどの作品にしようかな~~・・・とニンマリ思ってます。 2)アトピー・リゾート【辻井南青紀】 久しぶりに、ミステリーじゃない小説を読みました。 先日、表紙の芸術を紹介(笑)した、あの本。やっと読み終えましたよ・・・。 いくつもの親子の関係が時間軸でつづられていて、あっちこっちと時間を飛び回り、 最後まで読むと、あの時の子供が親になって、アトピーの子供を抱えて 必死に頑張っているところにたどりつきます。 最後になると、あ~~、あの子!! あ~~、あの時の!! って感じになるけど、読んでる最中は、もう、こんがらがっちゃって大変でした。 小説にしては、ストーリー性はありません(なんて言い切っていいんだろうか・・・)。 後半にようやく面白みが出てきたけれど、なんだか疲れました・・・・。 アトピーがよくなるリゾート地がある、というところに行き着くまで長くて・・・。 最後へとつながるその話を深く書いてほしかったなー。なんて思ってます。 3)告知【熊沢健一】 もし、自分が癌になって余命が限られたものだとしたら。 告知はしっかりしてもらって、やりたいこともやりたいし、親しい人にもお別れを言っておきたいし、特に旦那ちゃんや子供たちにはいろんなことを伝えておきたい・・・と日ごろから思っておりますが。この本は、まさにそれを実践された旦那さんと奥様のお話です。 旦那さんは外科医。もう、あまり時間は残されていない奥さんに、どのように告知するか。残された人生をどう生き、どのように最期を迎えてもらうか。 医療従事者であるからこその葛藤、小さな子供たちが残されること、奥さんがいなくなってからの生活への不安・・・というものが素直に書かれていました。 小さな子供を残しての旅立ちは、どんなに思いを伝えても伝えても、やっぱり心残りだと思うし、子供たちも母親が間もなく天国へと旅立つことを知って、それを受け入れてもやっぱりさびしくてたまらないと思う・・・。でも、病気や命にしっかりと向き合ったこの家族の強さをほんとにすごいと思っています。 読んでいて気付いたけど、これ、ドラマになったな、と。西田敏之さんが外科医の役をやったハズ・・・と思い出しました。 そして、やっぱり病気になんてなってられん!と強く思ったのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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