|
カテゴリ:本のはなしの巻
月末にパタパタと読み終えた2冊。
奇しくも、どちらもがんをテーマにした本となりました。 その夜、妻に最期のキスをした。 [ 横山文野 ] これは32歳で肺がんを患った横山文野さんと旦那さんの山口智久さん夫婦が闘い続けた3年間の闘病記。 研究者として、大学講師として歩み始めたばかりの文野さん。 新聞記者として忙しい日々を送る智久さん。 その二人に訪れた、まさに青天の霹靂、なぜ私なの?という嘆き、疑問、そして闘う決意。 お二人が記録として書いていたブログが本になったそうですが、 こうしてがんと闘う人が全国にほんとにたくさんいることに驚かされます。 治療記録、治療内容、医師とのやりとり、夫婦の形、家族の絆、多くの人がこの病を治ると信じて 闘った3年間の記録でした。 希望と絶望がこんなにもハッキリと出る病気もないですね。 文野さんは今は穏やかに天国にいるけれど、まだまだ多くの方が闘っている「がん」。 いい治療法が見つかり、多くの方の命が助かりますように。 そう思わず願わずにはいられない一冊でした。 余命1年のスタリオン [ 石田衣良 ] こちらは小説ですが、先日、大腸がんで急逝された今井雅之さんを思い出させる1冊でした。 初代スタリオンボーイでグランプリを受賞し、 その後、種馬王子のあだ名で知られる二枚目半の俳優、小早川当馬。 バツイチ、子供なし、彼女は3人。それなりに売れて、人気もあり、二枚目だけどコミカルで どこか憎めない、そんな役者(現実世界にもいそうよね)。 そんな彼が肺がんを患い、1年の余命宣告まで・・・・。 企画を温めてきた映画は、スポンサーが集まらずクランクインまではもう少し・・・。 あと1年で映画を撮り、公開させたいと執念の役者魂とその人生を描いた作品です。 彼の生き様、その周りの人たち、役者という仕事への情熱と執念、 そして訪れる真実の幸福。 冷静に考えたら、きっとこの人の人生は間もなく終わるのだろうけど 駆け抜けた1年は確かな記録と人々の記憶に刻まれるのだろうな、という温かい小説でした。 久しぶりに読んだ石田衣良はやはり面白かった。 他の作品でも、ほんの少し先の未来を描いていて、その数年後に 「これって石田衣良の描いてた小説の世界だ」と想うことがしばしばあるのだけれど、 今回はまさに、今井雅之氏を思い出させる小説でちょっと驚きました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[本のはなしの巻] カテゴリの最新記事
|