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カテゴリ:本のはなしの巻
歓喜の仔(上) [ 天童荒太 ] 歓喜の仔(下) [ 天童荒太 ] いつも行くメイン図書館が書庫整理のため2週間ほどお休みしちゃって、 隣町の別の図書館へ。メイン図書館にはいつもない、天童荒太氏の「歓喜の仔」発見! わわわわ、と思いつつすぐに借りて一気読み。 相変わらず、天童氏の描く子供たちは不幸で切なくてひどい環境の中で、それでも何とか生きている。 3人の子供たち、それぞれの視点とそれぞれのテリトリーで描かれる物語は 目が離せなくて、どうかいつか希望を・・・という藁にもすがる想いがぬぐえなくて 本を手放せない時間でした。 重く苦しく切なく、活字を追うのが辛いと思いつつ、読まずにいられない。 魅力的な一冊でありました。 これが天童氏が作家になるきっかけとなった小説だそうで、あとがきを読みながら この人が作家になってよかった。物語を紡ぐ人でよかった、としみじみ思ったりしました。 オー!ファーザー [ 伊坂幸太郎 ] 歓喜の仔を読んで、なかなかのヘヴィさにボーゼンとしつつ、読み始めたオー!ファーザー。 こちらは見事なまでのエンターティナー。 高校生の由紀夫には、なぜか4人の父親がいる、という設定。 もうね、由紀夫クンのことが大好きで、彼を守るためならどんなことでも! という想いで暴走しちゃったりする、愛すべきお父さん「たち」なわけですよ。 真面目で冷静、4人の父親それぞれの個性と愛情をしっかり受け継ぐ由紀夫クン。 その先に待ち受ける事件と、思いがけない解決。 いや~、ハラハラしつつゲラゲラ笑いつつのあっという間の物語。 とっても面白かったです。 黒冷水 [ 羽田圭介 ] 今年の「もう一人の」芥川賞、羽田圭介氏・・・というより、クンと言いたくなる若さだけれど。 羽田圭介って17歳で文藝賞を受賞してすごく話題になった人だったのね。 で、これがその作品。 高校2年と中学2年の兄弟の話。 お互いがお互いをうざったい存在・・・・と思うなら普通の兄弟。 ところが二人はお互いを嫌悪し、それがいつしか憎悪を募らせて修復不可能な関係へ・・・。 兄の部屋を証拠を残さずあさりまくり、兄を嘲る弟。 完璧に証拠を残していないという弟の幼稚な痕跡を全て見透かし 憎悪と嫌悪を募らせ、弟を追い詰めることに粘着する兄。 そして物語はついに終わりを向かえ・・・・、アレ?終わらない? え?読んでいたつもりが読まされていたの? という、すごいトリックにすっかり翻弄されてしまいました。 いや~、見事に策にはまっちゃいました。 文章を書くのって年齢じゃないのね。感性と才能なのね。 と思った1冊。これはこれで、非常に面白い本でした。 というわけで、今月は4冊。だいぶがんばった!(笑) どの本もとても印象深く面白く、充実の一ヶ月でした。 ちなみに読み終わらなかったけど、今は直木賞を受賞された東山氏の本を読んでます。 受賞作ではないけれど、エンターティナーな要素たっぷり、なかなか面白そうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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