国際結婚を生み出す環境、待ち受ける障害
私はいぜん、日本語教師になるために勉強していたことがあります。そのつてで、日本の実家の方に、日本語教育新聞(日本語教育新聞社刊)が送られてきます。毎回、世界中の日本語教育の現場に立つ方々の記事や意見、在日外国人の方たちのことなど、色々と面白いので、日本にいた頃は読んでいました。実は先日、母が日本のお菓子を送ってくれた際に、その新聞を入れてくれました。その新聞で、とても興味深い特集を組んでいたので、そのことについて今日は書こうと思います。今回の特集は、「国際結婚」。現在日本における、日本人の外国籍の人との婚姻が年々増加してきていて、厚生労働省の「人口動態調査(平成16年)」の「夫妻の国籍別にみた年次別婚姻件数百分率」では、1969年時では、国際結婚率は1%未満だったのが、1989年(バブル期)には3%強となり、2004年には5.5%まで比率が延びています。そして、現在、約20組に1組が国際結婚であるとまで言われていて、20数年後には、国際結婚率1割を超えると予測されるそうです。全国の国際結婚の内訳は、◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇夫日本人&妻外国人 夫外国人・妻日本人 国籍---------婚姻件数--------国籍---------婚姻件数1.中国--------11915◇◆◇1.韓国・朝鮮---22932.フィリピン-----8397◇◆◇2.アメリカ------15003.韓国・朝鮮----5730◇◆◇3.中国--------11044.タイ----------1640◇◆◇4.イギリス------3395.ブラジル-------256◇◆◇5.ブラジル------2686.アメリカ--------179◇◆◇6.ペルー-------1227・ペルー---------137◇◆◇7.フィリピン-----1208・イギリス---------64◇◆◇8.タイ-----------75厚生労働省「人口動態調査(平成16年版)」夫妻の国籍別に見た都道府県(14大都市再掲)別婚姻件数」◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇と、上記のような統計が出ています。この統計から、日本人男性の国際結婚率が、日本人女性の国際結婚率を2倍も上回っていることが分かります。では、なぜ国際結婚がこのように増えたか。ここで、新聞では、大手国際結婚紹介サービスの代表取締役の女性が、国際結婚増加の要因を語っています。以下要約文です。◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇バブル期に、海外旅行が流行し、海外が身近な存在となり、ここ10年で海外旅行や、それに伴う外国語勉強が広まり、また、留学も、以前は大学や大学院などの正規留学が主であったのに対し、現在は気軽に語学留学や、ワーキングホリデーなども出来るようになり、外国がよりいっそう身近なものとなりました。その結果、国際的感覚の持ち主が増加し、自分の居場所を日本という限られた場所だけでなく、世界に自分の居場所を見つけようとした結果、国際結婚が増えてきています。しかし、国際結婚には、思わぬ障害が待ち構えています。文化の違いによる誤解、両親の反対、結婚手続きの複雑さ、語学力、などです。些細なことでも、文化の違いによって大きな問題に発展してしまうこともあります。以下略◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇そして、最近の日本人女性の国際結婚願望についても、あるジャーナリストの方が語っています。以下要約文です。◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇最近になって、マスコミなどで国際結婚がクローズアップされ、特に女性たちに希望する人が増えたように感じますが、80年代ごろから潜在的な希望を持つ人は多かった、とジャーナリストの方は語っています。バブル景気で、80年代になると、海外旅行や留学が盛んになり、海外での生活を経験したりして、外国人との交流を体験してくると、国際結婚が現実感を持ち始め、海外の男性が魅力的に見えてくるのと反対に、日本人男性が幼稚に思えてきて、日本人との妻は雑用をこなすただの母親代わりで、結婚後の負担ばかり目に付いてしまうひとも増えていきました。では、増え続けている国際結婚で、幸せな夫婦が増えているのかというと、そうでもなく、2004年の国際離婚件数は15,299件にものぼり、1995年の7992件と比べると、ほぼ2倍にまで膨れ上がっています。国際結婚に失敗している人の数も年々急上昇しています。今後は、やり直せる環境の想定など、国際結婚における失敗を避ける工夫が必要となってきています。国際結婚を後押しする環境はますます整っていきます。日本は今以上に寛容に捉え、その受け入れについて学んでいく必要があります。◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇と、今回の特集、「国際結婚」はこのような内容の特集でした。私はこの特集を読んだときに、疑問が浮かびました。一つは、国際結婚紹介サービスの方が語っていらっしゃったことです。海外旅行、語学勉強、留学などで、国際的感覚の持ち主が増え、海外に自分の居場所を見つけようとして、国際結婚が増える、ということでしたが、私には、どうもこれがふに落ちないのです。一応、彼女のいう上記の国際的感覚の持ち主の定義に、私も当てはまるようですが、はっきり言って私は国際的感覚の持ち主ではないと思うのです。私はアメリカに来て約2年になります。大学にも通って色々勉強している最中ですが、自分には知らない世界や事柄が多すぎて、あ~自分はなんて小さな人間なんだろう、とつくづく思います。よく、「○○人は・・・」とか「○○国では・・・」と語るのを聞くと、「あ~、私にはそんな風に語れないなぁ、知らないことが多すぎる」と思います。私はアメリカに住んでるけど、ではアメリカを知っているかというと、知らないことが多すぎです。私が知ってることなんて、テネシー州のことと、ニュースでやってることくらいだし、日本の大学に在学中は、インドについて学んだけど、それだって、大きなインドのなかの一部を知る程度です。まぁ、自分が「何も知らない」ということをわかってるだけましかもしれませんが。私がバカだから、この国際結婚サービスの女性が言う、国際的感覚の持ち主になれていないのかもしれないけど、海外旅行を何回も何カ国も行ったからと言って、その国を知る、世界を知るというわけではないと思うのです。中には、旅行に行ったから、その国がわかる、その国が好き♪なんて言う人もいると思いますが、観光地だけを見て、その国の外見だけを見て、この国が好きとか言うのは、「自分が何もわかっていない」ということさえわかっていないのだと思うのです。それに、そんな簡単に国際的感覚が身に付く人間・世の中なら、地球全域がとっくに平和な世の中になってると思うのです。それに、その国際的感覚の持ち主たちが国際結婚しているのに、なぜ、文化の違いなどで誤解が生じ、離婚にまで発展するケースが急増してるのか、と思うのです。そして語学力の問題もそう。もし、本当に国際的感覚の持ち主であるなら、最低限英語か、相手の母国語くらい話せるようでないといけないのに、語学力が障害になってるなんておかしいと思うのです。別に、だからといって、そういう人たちは国際結婚するな、というのではなく、ただ、なんだか、マスコミや、国際結婚サービスが、国際社会をうたい文句に、外国好きな人たちの心理を、うまく利用しているだけで、外国好きな人たちがうまく踊らされてるような気がするのです。あと、もう一つ、ジャーナリストの方が語っていたことで、「日本人女性が思う日本人男性云々」のくだりで、思ったのですが、日本にいたとき、国際結婚相談所の宣伝文句で、「日本人男性(女性)は○○だけど、外国人男性(女性)なら●●」とあったのを見たことがありますが、なぜ、このようにみんなひとくくりにされてしまうのだろうか?と思ってしまいました。私は日本人ですが、「日本人は○○~」なんて語れません。だって、日本人すべての人たちを知ってるわけではないから。アメリカ人にしてもそうです。「アメリカ人は~」なんて語れません。だって私が知ってるアメリカなんて、このテネシー州の一部くらいですから。「イライジャは~」だったら、いくらでも語れますが(笑)中には一つを知ると、すべてを知った気になってしまう人もいるということなんでしょうか。現在、世界のグローバル化に伴い、国という境界線の意識が薄れてきています。農村では嫁不足に伴い、中国やタイ、フィリピンなどからのお嫁さんを募集する人たちもいます。安い賃金で外国人を雇う大きな会社の工場などもあります。そして、多くの外資系会社の日本進出。外国語勉強のブーム、海外旅行や語学留学の流行。色々他国の人たちと交わる機会があります。そんな今の世の中で、国際的感覚というのはどういうものなのか?と考えてしまいました。