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本の足跡

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2007年04月13日
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テーマ:本日の1冊(3697)
カテゴリ:か行 女性

老人のための残酷童話

“老人のための残酷童話”

評価:★★★☆☆

 

短編集。全10話。

誰もが知っている古典や童話などになぞらえて、独自の物語を紡ぎ出しています。

人間の心の深層を鋭くえぐり取っていて、さすがは倉橋さんだと感嘆しました。

人間の醜い部分・・・誰もが持っていて、されども秘匿していたい醜悪な部分を、彼女独自の世界観で解釈され作られた物語の中で、忌憚なく表現しています。

人間誰しも漠然とは分かってる。心のどこかにはとっても卑怯で、利己的で、驕慢だったりする部分があるって。普段は克己心という名の殻に包まれてて外からは見えないんだけど、時折ひょっこり顔をだす、そういった嫌悪しつつも決してなくすことのできない部分。

そういったところを穿つ鋭い感性と、それを表現する巧妙な筆致。素晴らしいですね、ほんと。

恥ずかしながら今日まで知らなかったのですが、倉橋由美子さん、2005年に亡くなられたそうです。こういった素晴らしい作品がもう生み出されることがないと思うと、仕方のないこととはわかっていても、愛惜の念が湧き上がってきますね。






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最終更新日  2007年04月13日 16時39分54秒
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