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本の足跡

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2007年04月28日
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テーマ:本日の1冊(3698)
カテゴリ:ノンフィクション

でっちあげ

“でっちあげ”

評価:★★★★★

 

体罰と言葉による虐めによって生徒をPTSDにさせたとされる福岡の小学校の男性教諭。次々と報道される『鬼畜の所行』。しかし、日を追うごとにこの事実は全く事実無根のでっちあげということが判明し始めた!!・・・衝撃のルポ!!

このような事件が起きたのには大きく二つの要因があると思う。

まず、教諭自身が最初の段階ででっちあげの事実を否認しきれなかったこと。そしてそれは、保護者と教育委員会に迎合するしかない教育現場に問題があるから。

次に、マスコミの怠慢。新聞や本を売るために、マスコミは常日頃事件を大げさにセンセーショナルに取り上げる。そして、さしたる取材による裏付けもないことがあまりにも多い。

いつからか教師という地位は低くみられるようになり、親が些細なことで学校にクレームをつけるようになった。そして学校は保護者に迎合してばかり。(そうならざるを得ないのはやはり教育現場の仕組みに問題がある。) 少し話が脱線するが、教師の地位が低下し始めたのは、『先生は生徒と友達のような関係を築くのが理想』だとか『先生と生徒は対等』『それゆえ、教壇が一段高いのはおかしい』『生徒の個性』等々しょうもない理想論を教育現場に持ち込んだからだと思います。(今日の学級崩壊の原因はこういったバカな事を主張した左の連中のせいですっ!!)

先生と生徒が対等なわけない。生徒は先生という自分よりも年上で、はるかに知識のある人間に教えてもらうんだという心構えでいるべき。だから、先生は堂々と教壇の一段上から教鞭をふるえばいいんです。

そしてガキがそのまま親になったようなバカ親。『英語を教えて欲しい』『勉強を好きにさせてほしい』『もっと自分の子をよくみてほしい』『倫理観を教えて欲しい』・・・学校への要求は人一倍しておきながら、親の責任は放棄して全て学校任せ。そのくせ一度何か起これば『学校の責任』。任せるなら徹底して任せるならまだしも、口だけは出す。自分たちは何の義務も責任も負わずに、それら全て学校におしつけ、あまつさえ文句までいう。こんな親を相手にしてたら先生たちは大変だろうと心中察するに余りある。

閑話休題。

保護者がクレームをつける→教育現場は萎縮する→そうするとさらに保護者はつけあがる→ますます萎縮する現場。事なかれ主義がまかり通っている現場ではただひたすら平身低頭・・・この悪スパイラルにはまってしまっているため、保護者の理不尽な要求・クレームに唯々諾々となり、その不幸な結果が今回のでっちあげ事件だ。

そして、マスコミ。最近のマスコミってのは、いかにセンセーショナルで世間の耳目を集めるかってことに重きがおかれすぎている嫌いがある。そのため報道は一過性になり、無責任におもしろおかしくかき立てて終わり。マスコミのモラルも崩壊している。もっと地道に自分の足で綿密な取材をするべきであり、メディアというものは真実を伝えるという当たり前の責任があることをしっかり認識するべきだ。

そういえば、以前かなりマスコミが騒いだ事件で、『母親が、幼い子どもを家に置いたままスノボーにでかけ、その間に家が家事になり子どもが死亡した』というのがあった。これも『日頃から虐待していた』とか『鬼母』なんて言われていたし私もそうだと思っていた。しかしよくよくこの事件を追っていくと、実はこの母親普段はとても子煩悩だったとか。そしてスノボーというのも、数年ぶりに行ったのだとか。しかしマスコミでは『スノボーなんかいって、子どもをほったらかしで遊び狂ってる鬼母』みたいな論調ばかりだった。そしてその後事実をきちんと報道し直したものなどほとんどなかった。

この例からもいかにマスコミが無責任で怠慢かがわかる。こんな連中が『人権』だとか『責任』だとか『倫理』なんて声高に叫んでるんだからこの国はおかしい。このでっちあげ事件によって、教育現場だけでなく、日本社会の病んだ部分が浮き彫りなったと思う。

 一番印象に残った文章を紹介。245Pの最初から。

『子供は善、教師は悪という単純な二元論的思考に凝り固まった人権派弁護士、保護者の無理難題を拒否できない学校現場や教育委員会、軽い体罰でもすぐに騒いで教師を悪者にするマスコミ、弁護士の話を鵜呑みにして、かわいそうな被害者を救うヒロイズムに酔った精神科医。そして、クレーマーと化した保護者。結局、彼らが寄ってたかって川上*を、"史上最悪の殺人教師"にデッチ上げたというのが真相であろう。』 *でっちあげられた被害者である教師。

まさにその通り。この記述にこの本での重要な要素が凝縮されてると言えます。 何より心配なのは、この妄言癖のあるクレーマーの親に育てられている子供が将来どうなるのかということです。

ちなみに、このクレーマーの両親、「こんな人いるか?」と思われるかもしれませんが、実際に私の友達にいました。高校時代の友人なんですが、彼女に関係のある教師たち、友だちの間では「彼女はおかしい」と半ば公然のことでした。そして、実際に彼女とその両親は学校にいわれもないことで乗り込んできて「裁判をする!!」とわめき散らす始末。その子の担任の男性教師が涙してしまったそうです。(またそれを本人が誇らしげに言いふらしてるんだから怖いもんです。)

=== 118冊目 読了 ===

 

 

---追記---------------------------------------

この事件のその後について、新潮社のサイトにて、著者より追記が発表されました。 

参考サイト:公式サイト新潮社 『 「でっちあげ」事件、その後 』

         http://www.shinchosha.co.jp/book/303671/?select=free

2007.5.13






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最終更新日  2007年04月28日 07時10分04秒
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