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カテゴリ:か行 男性
評価:★★★★★
長編。 --- 梗概 ------------- 竜崎伸也。警察庁勤務。東大卒業後、警察キャリアとなった竜崎は順調に出世街道を進んでいる。そんなおり、連続殺人事件が発生。浮かび上がる意外な犯人像。混迷する警察。四面楚歌の竜崎に、さらには家庭内に不穏な空気が立ちこめ始める・・・。 --------------------- いいっ!!警察小説というと、現場刑事視点のものが多いし、またそちらの方がおもしろい。だけど、これはキャリアが主人公。読む前は、キャリア主人公にしても大しておもしろいストーリーは描けないんじゃないの~?なんておこがましいことを考えていましたが・・・おもしろすぎますっ!! 竜崎という警察官僚。そしてそれを取り巻く人々。全ての人物像が絶妙。 特筆すべきはやはり主人公の竜崎。キャリアという設定なので、理想を追い求めるばかりの、清廉潔白で正義感に満ちあふれた人間では現実味がない。かといって、自己保身ばかりに目がいく腐敗した官僚像でもおもしろみがない。 その中間を行く官僚が竜崎なのです。「東大でなければ大学でない」なんて平気で言ってのけ、出世欲も旺盛。ただ、彼は出世のために人に与することはない。己の信念に従って、なおかつ一人で突っ走ることもなくうまく立ち回る。 綺麗ごとばかりではやっていけない。汚い部分も多くある。けれど、それをうまく受け入れながら妥協しつつも、決して理想を失ってはいない。譲れない一点は決して譲らない。それが国のためならば。 常に『国のため』『警察組織のため』・・・これが彼の原則なのです。自己保身なんて何のその。常にベストな選択を模索し、それが実行されるよう奔走する。すごいです。「こんな人いないだろうな」と思う反面、「こんな人がいればな」と思える、いいとこをクサッとついてくる人物なのです。 人間味がなくてパーフェクトに見える彼も時には誘惑にかられ、自己保身と警察組織を秤にかけて逡巡したりする。そういうところもまた彼の魅力の一つであったりします。 あぁーーー!!他にもいっぱいいいところあるんですが書ききれない(笑)読んでください、是非!! サブキャラもみんないい味だしてます。同僚の伊丹さんも好きだし、竜崎の奥様も好き。ついつい竜崎のストイックさに目が行きがちですが、それもこれも内助の功あってのもの。すごくよくできた奥様です。一緒にいて愛をささやくばかりが夫婦じゃないなとつくづく実感。ただ、私には竜崎の妻はつとまりそうにないけど・・・(笑) それにしても、キャリアってのは大変ですよねーーすさまじい仕事量。とてつもない孤独。想像するだけで身震いします。私の身近にも某省庁で働く人間がいますが、すごいです。毎日帰りは10時すぎ。国会会期中なんて夜中の2時帰宅なんて当たり前。そして何より孤独なんですよね。ひたすら己の仕事を全うする。 なにかと批判の多いキャリア官僚ですが、彼らの仕事っぷりは理解し、評価すべきなんですよね、批判するばかりでなく。もちろん批判すべきところは批判すべきですけど。 いや~ほんといい。しびれます。ゾクゾクします。興奮して眠れそうにない(笑)早速これの続編『果断』を読みますね!!(^―^) === 168冊目 読了 === お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年09月27日 09時17分00秒
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