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テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:ノンフィクション
“犯罪被害者の声が聞こえますか” 評価:★★★★★
知らなかった・・・これはあまりにも理不尽です!妻を殺された弁護士、ガソリンをかけられたOL---加害者を裁く刑事裁判にも参加できず、保障も受けられず、医療費すら自己負担を強いられて、一人で苦しんできた犯罪被害者たち。その一人ひとりの悲痛な訴えが、ついに国を動かし、画期的な「犯罪被害者等基本法」が成立した。「全国犯罪被害者の会」2992日の記録。(裏表紙より) ここで紹介されている犯罪被害者たちはみな、何の非もなく犯罪に巻き込まれた人たちばかり。それなのに、彼らにのしかかり、苦しめる経済的、精神的負担。あまりの理不尽さに憤りがわいてきます。 最近でこそ、被害者の人権が重要視されるようになってきましたが、それは全国犯罪被害者の会の活動があってのこと。この活動を始められたみなさんは、被害にあったあと、国から何の支援も受けられず、理不尽さをつきつけられてきたのです。 本当に悲惨です。被害者は事件に巻き込まれると、プライバシーもなくメディアにさらし者になる。近所からは被害者自身にも非があったかのように影で囁かれたりし、引っ越しを余儀なくされることも多い。 そして、メディアに取りざたされた被害者は一生事件の被害者としてみられてしまう。人生を大きく狂わされるのです。 事件により後遺症が残っても、その治療費は全て自己負担。仕事もやめなければならず、かといって生活保護も受けるのは難しい。こういった精神的・経済的負担は、被害者自身だけでなく、被害者の家族をも不幸にするのです。 一方加害者はというと、刑務所では無償で生活でき、(最近の刑務所はすごいですよね。下手すりゃ貧しくても頑張っている人達よりうんといい生活してます。テレビはあるし、個室は清潔だし。だまっててもご飯は出てくる。)病気になっても無償で治療してもらえる。出所したら、何もなかったかのように新しい生活を始められる。 こんな理不尽があっていいのか?あまりにも被害者が顧みられてこなかった現実を、知ってはいたけれど、ここまで具体的につきつけられると、あまりの衝撃に呆然とします。 こんな時代、自分が何の非もないのに犯罪に巻き込まれる可能性は常にあるんですよね。もし被害にあったとき、自分だったらきっと絶望してしまう。何のバックアップも受けられず、経済的に逼迫していく。先の見えない日々。不安と絶望に支配されてしまうと思う。 加害者から賠償を受けようとしても、ほとんどの加害者は賠償能力もない。あったとしても加害者が支払う保証もない。それでも裁判をおこそうとすればかさむ弁護士費用。そして、民事をおこすときには加害者側に知られてしまう自分の住所。報復される懸念があるならば、結局は裁判もおこせず泣き寝入り。 また、被害者は裁判で加害者の証言に反論する権利も認められていない。だから、裁判でどんなに加害者が自己を正当化することを述べてもそれを否定することもできない。そのことがさらに被害者を苦しめる。 こういった犯罪被害にあって途方に暮れる被害者をさらに追いつめるような現状を打破すべく、一番苦しいはずの被害者たちが立ち上がりできた全国犯罪被害者の会。 彼らの活動には紆余曲折あったようですが、彼らは決してめげずに自分たちのような犯罪被害者をつくりださないために尽力されているのです。 素晴らしいことですよね。自分たちを救うためではなく、これから自分たちのように苦しむ人をつくらないように奔走する。よくここまでできるなと、頭が下がります。 人間は結局、自分がその立場になるまでは、彼らの苦しみを頭では理解していても、同じように感じることはできない。 だからこそ、被害者たちの本当の声に耳を傾け、彼らの苦しみを極限まで小さくするような制度を構築していかなければならないのだと思います。 この本の中には具体的にどこがダメなのか、これからどうすべきなのか、そういったことがつぶさに記されています。是非読んでみてください。 === 35冊目 読了 === ← ランキング参加中デス♪よろしければポチッとお願いします★
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最終更新日
2008年06月08日 22時30分15秒
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